ダグラス・アダムス関連人物一覧  -B-


Bailey, Christopher クリストファー・ベイリー
Baker, Tom トム・ベイカー
Banks, Iain イアン・バンクス
Barnett, Samuel サミュエル・バーネット
Barry, Dave デイヴ・バリー
Baxendale, Helen ヘレン・バクセンデイル
Bayley, Barrington J. バリントン・J・ベイリー
Bell, Alan J. W. アラン・J・W・ベル
Benn, Mitch ミッチ・ベン
Bhaskar, Sanjeev サンジーヴ・バスカー
Biggerstaff, Sean ショーン・ビガースタッフ
Bloch, Spencer J. スペンサー・ブロック
Boyd, Billy ビリー・ボイド
Boyd, Darren ダーレン・ボイド
Bragg, Melvyn メルヴィン・ブラッグ
Brett, Simon サイモン・ブレット
Brin, David デイヴィッド・ブリン
Broadbent, Jim ジム・ブロードベント
Brock, Jonathan Simon ジョナサン・サイモン・ブロック
Brookmyre, Christopher クリストファー・ブルックマイア
Brown, Spencer スペンサー・ブラウン
Buchanan, Margo マーゴ・ブキャナン
Buxton, Adam アダム・バクストン
Bywater, Michael マイケル・バイウォーター


Bailey, Christopher  クリストファー・ベイリー

 イギリスの脚本家。テレビ・ドラマ『ドクター・フー』の脚本、'Kinda' (1982年2月)およびその続編 'Snakedance' (1983年1月)を書き、1981年8月のインタビューで、「SFを笑いものにして利口ぶったりする、ダグラス・アダムスの一派には賛同できない。実際のところは、ものすごく高度なテーマを取り扱ったSF小説が、世界中で数百万もの人たちに読まれている訳だからね。(略)そういう読者も、『ドクター・フー』の視聴者たりうるんじゃないかと思う。(略)アーシュラ・K・グィンのような作家に目を向ければ、彼らがいかに最新のアイディアを取り上げているか分かる。SF小説におけるガジェッド派なんて、30年も前に終わっている――あんなの、50年代の代物だね」(Tulloch, p. 54)と語った。
 その彼が手掛けたエピソード、'Kinda' と'Snakedance' は、高い文学性を志向し、アーシュラ・K・グィンのSF小説『世界の合言葉は森』を下敷きに、ベイリーの仏教に関する知識なども盛り込んで書かれた。が、1982年9月にシドニーにあるマッコーリ大学のSFファンにアダムスが脚本を手掛けた 'City of Death' とベイリーの 'Kinda' の両方を見せ、グループ・インタビューを行ったところ、'City of Death' が高い評価を受けたのに対し、'Kinda' に対しては古臭いとか安っぽいといった否定的な意見が多かった、という実に皮肉な結果となったらしい(同, pp. 60-61)。


Baker, Tom  トム・ベイカー 1934.1.20-

 イギリスの俳優。アダムスがテレビ・ドラマ『ドクター・フー』の脚本の仕事をしていた時、4代目ドクターを務めていた。そのため、アダムスが脚本を担当したすべてのエピソードで彼がドクター役だったが、その中の1本、Shada は撮影はされたものの、BBCのストライキのせいで放送されずじまいに終わった。ただし、このエピソードの中で、ドクター役のトム・ベイカーとロマーナ役のララ・ウォードがケンブリッジ大学そばのケム河でボートに乗っているシーンだけは、『ドクター・フー』の20周年特別記念番組、The Five Doctors の中で放送され、1992年にはビデオ発売もされている。
 トム・ベイカーはリヴァプール生まれ。舞台俳優としてナショナル・シアターに出演した後、1971年に『ニコライとアレクサンドラ』で映画デビュー。1974年から1981年まで7年に亘って『ドクター・フー』のドクター役を務め、高い人気を誇る。1980年には共演者のララ・ウォードと結婚したが、わずか16ヶ月で離婚した。最近では、2002年から放送が始まった人気コメディ番組『リトル・ブリテン』のナレーター役としても知られる。また、俳優業のみならず、ホラー・ファンタジー小説『ブタをけっとばした少年』の著者としての顔も持つ。
 アダムスはベイカーより一足早く1980年1月には『ドクター・フー』の仕事から離れてしまったが、その後も二人の交友関係は続いていたようで、ベイカーはアダムスの自宅で開かれたパーティに招かれていた。また、1990年9月20日に放送されたアダムス企画のドキュメンタリー番組『ハイパーランド』では、「ソフトウェア・エージェント」役で出演している。


Banks, Iain  イアン・バンクス 1954.2.16-2013.6.9

 イギリスの小説家。第2作目の小説、Walking on Glass のプロットに、アダムスの作品を取り込んでいる。が、アダムスのほうはバンクスの本を最後まで読み通したことがないらしい。(Hitchhiker, p.139)
 スコットランド・ファイフ生まれ。スターリング大学卒業後、ブリティッシュ・スチール社やIBMでの勤務を経て、1984年に長編小説『蜂工場』を発表、作家としてデビューした。SF、ミステリーなど、幅広い分野の小説を発表し、イギリスではベストセラーリストに常連の、人気作家の一人である。映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』に、エキストラとして出演したこともあるとか。2013年6月、胆嚢癌のため死去。享年59歳。
 バンクスの主な著作は以下の通り。(*は、イアン・M・バンクス名義で書かれた作品。SF小説は、この名義で出版されている)

The Wasp Factory (1984) 『蜂工場』 集英社文庫 1988年
Walking on Glass (1985)
The Bridge (1986)
Consider Phlebas (1987)*
Espedair Street (1987) 『エスペデア・ストリート』 角川文庫 2001年
The Player of Games (1988)* 『ゲーム・プレイヤー』 角川文庫 1988年
The State of the Art (1989)*
Canal Dreams (1989)
Use of Weapons (1990)*
The State of the Art (1991)*
The Crow Road (1992)
Against a Dark Background (1993)*
Complicity (1993) 『共鳴』 早川書房 1996年
Feersum Endjinn (1994) 『フィアサム・エンジン』 早川書房 1997年
Whit or Isis amongst the Unsaved (1995) 『秘密』 早川書房 1996年
Excession (1996)*
A Song of Stone (1997)
Inversions (1998)*
The Business (1999)
Look to Windward (2000)*
Dead Air (2002)
Look to Windward (2000)*
Matter (2008)*
Transition (2009)
Surface Detail (2010)*
Stonemouth (2012)
The Quarry (2013)


Barnett, Samuel  サミュエル・バーネット 1980.4.25-

 イギリスの俳優。Netflixで公開中のテレビドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」で主人公ダーク役を務めた。また、2016年10月に発売されたコミックス版に、イントロダクションを寄せている。
 ノースヨークシャー生まれ。2004年、アラン・ベネットの大ヒット舞台劇「ヒストリーボーイズ」に初演から出演してオリヴィエ賞の助演男優賞にノミネートされた。その後、世界各地での上演にも参加、2006年の映画版にも出演している。また、2012年には、ロンドン・グローブ座で上演されたマーク・ライランスを中心に男性のみで演じられたシェイクスピアの「十二夜」と「リチャード三世」にもセバスチャン役とエリザベス役で出演した(このプロダクションがニューヨーク・ブロードウェイの劇場に移って上演された時には、「十二夜」ではセバスチャンではなくヴァイオラ役を務めている)。2018年にロンドンのブリッジ・シアターで主演した舞台「アレルヤ!」は、ナショナル・シアター・ライヴ作品としてイギリス中の映画館に中継され、2019年9月には日本でも上映される予定。
 バーネットの主な出演映画は以下の通り。

Mrs Henderson Presents (2005) 『ヘンダーソン夫人の贈り物』
The History Boys (2006) 『ヒストリーボーイズ』
The Lady in the Van (2015) 『ミス・シェパードをお手本に』

 この他、『セレブになりたくて 〜サイモンの青春日記〜』(2008-2009年)や、『SEXとアートと美しき男たち』(2011年)等、数々のテレビ作品にも出演している。


Barry, Dave  デイヴ・バリー 1947.7.3-

 アメリカのコラムニスト。アダムスは、読んで笑える作家の一人としてP・G・ウッドハウスやジェーン・オースティンらと共にバリーの名前も挙げていた。そしてバリーもまた、『銀河ヒッチハイク・ガイド』25周年を記念して出版された The Hitchhiker's Guide to the Galaxy: 25th Anniversary Edition に、アダムスに取材した時のことについて一言コメントを寄せている。
 とは言え、実際のところバリーとアダムスの間にどのくらい親交もしくは接点があったのかはよく分からない。ただ、1992年にマイアミで開催された American Booksellers' Association Conference で、アダムスが作家ケン・フォレットと組んで前座として演奏した際には、バリーはメイン・バンド、ロック・ボトム・リメイダーズ(the Rock Bottom Remainders)でリードギターを務めていたことや、マイケル・バイウォーターと電子メールをやりとりする仲だった(「マイケル・バイウォーターというイギリスの作家に電子メッセージを送ろうとしたことがある。マイケルと知り合ったのは、本の宣伝ツアーでロンドンへ行ったときだ。わたしたちはとてもウマが合った。経済や社会や政治の重要問題について基本的な見解を共有していたからでもあるが、ふたりともその時点で大量のビールを消費していたからでもある」『デイヴ・バリーの笑えるコンピュータ』、p. 140)ことを考えると、少なくともニアミス程度の接点はあったと思われる。
 バリーは多くのコラムやエッセイを発表するかたわら、1988年には、『マイアミ・ヘラルド』紙に連載したユーモラスなコラムでピュリッツァー賞を受賞した。ノンフィクションのみならず小説も手掛け、中でも『ビッグ・トラブル』は2002年に映画化されている。
 主な著作は以下の通り(* は小説作品)。

The Taming of the Screw (1983)
Babies and Other Hazards of Sex: How to Make a Tiny Person in Only 9 Months With Tools You Probably Have Around the Home (1984)
Stay Fit and Healthy Until You're Dead (1985)
Claw Your Way to the Top: How to Become the Head of a Major Corporation in Roughly a Week (1986)
Dave Barry's Guide to Marriage and/or Sex (1987)
Homes and Other Black Holes (1988)
Dave Barry Slept Here: A Sort of History of the United States (1989) 『デイヴ・バリーのアメリカを笑う』 集英社 1995年
Dave Barry Turns 40 (1990) 『デイヴ・バリーの40歳になったら』 集英社 1992年
Dave Barry's Only Travel Guide You'll Ever Need (1991)
Dave Barry Does Japan (1992) 『デイヴ・バリーの日本を笑う』 集英社 1994年
Dave Barry's Gift Guide to End All Gift Guides (1994)
Dave Barry's Complete Guide to Guys (1996)
Dave Barry in Cyberspace (1996) 『デイヴ・バリーの笑えるコンピュータ』 草思社 1998年
Dave Barry's Book of Bad Songs (1997)
Dave Barry Turns 50 (1998)
Big Trouble (1999)* 『ビッグ・トラブル』 新潮文庫 2001年
Dave Barry Hits Below the Beltway: A Vicious and Unprovoked Attack on Our Most Cherished Political Institutions (2001)
Tricky Business (2002)*
Dave Barry's Money Secrets (2006)
The Shepherd, the Angel, and Walter the Christmas Miracle Dog (2006)*
Dave Barry on Dads (2007)
Dave Barry's History of the Millennium (So Far) (2007)
I'll Mature When I'm Dead (2010)
You Can Date Boys When You're Forty: Dave Barry on Parenting and Other Topics He Knows Very Little About (2014)
Live Right and Find Happiness (Although Beer is Much Faster): Life Lessons and Other Ravings from Dave Barry (2015)


Baxendale, Helen  ヘレン・バクセンデイル 1970.6.7-

 イギリスの俳優。テレビ・ドラマ版『ダーク・ジェントリー』で、リチャードの恋人スーザン役を務めた。
 ヨークシャー生まれ。テレビ・ドラマを中心に活躍し、Dirk Gently の主役、スティーヴン・マンガンとは、以前にも『ぼくのヒ・ミ・ツ日記』シリースのテレビドラマで共演している。アメリカのテレビ・ドラマ『フレンズ』シーズン4とシーズン4に、ゲスト出演したことも。主な出演映画は、『カフェ・ブダペスト』(1995年)、『私が愛したギャングスター』(2000年)、『もう一人のシェクスピア』(2011年)など。


Bayley, Barrington J.  バリントン・J・ベイリー 1937.4.9-2008.10.14

 イギリスのSF作家。1970年代〈ワイドスクリーン・バロック〉の代表的作家でもある。
 アダムスと同時代の作家とは言え、アダムスがベイリーを読んでいる可能性は低いが、ベイリーがアダムスを読んでいる可能性はある。しかし、私個人の意見としてはベイリーがアダムスに感化されたとは思えない。ただ、British Book News (June, 1985, p.329) に掲載されたベイリーの『禅銃』(The Zen Gun, 1983)の書評の中に以下のような記載があったので、参考までに引用する。

The Interstellar taxmen, the militarist animals, even the Zen Gun itself (which is made of wood and can puncture the universe), all suggest a comedy, a burlesque of space fiction after the manner of Douglas Adams's Hitch Hiker's Guide to the Galaxy (Pan, 1979). Bayley, however, is not joking.

 アダムスとベイリーの作風の違いについては、私なりに『銀河ヒッチハイク・ガイド』考で取り上げているので、詳しくはそちらをご参照あれ。
 ベイリーはバーミンガム生まれ。10歳の時に家族とシュロップシャーに引っ越し、12歳の頃にはSFのファンになっていた。そして「自分で生きるためにはSFを書いて稼ぐしかないと気づいたという。SF作家になりたかったというより、SF作家になることが唯一の生きる道だったのである」(「バリントン・J・ベイリー追悼特集 特集解説、p. 48)。1955年に英国空軍に入隊し、2年後に除隊、その後SFファンや作家と知り合いになり、特に親しくなったマイケル・ムアコックと合作を発表するようになる。1964年にはムアコックが『ニュー・ワールズ』というSF雑誌の編集長になり、ベイリーはその雑誌の主力作家の一人となった。1970年代以降は多くの長編SF小説を出版するが、「ベイリーのもっとも売れた本はDAWブックス版の『時間衝突』で、その実売が四万一千部+α」(同、p. 49)だったというから、SF作家の中でも決して「売れっ子」ではなかったようだ。とは言え、ブライアン・W・オールディスはベイリーを「おそらくこのジャンルでもっとも過小評価されている」(『一兆年の宴』、p.78)と評し、ブルース・スターリングは創元推理文庫の『時間衝突』に付けられた序文の中で「古今東西、最高のSF作家のひとりである。純粋な知的冒険の達人である。ベイリーを読むことは、すなわち、華麗なる想像力の逆巻く奔流に呑みこまれ、流されてゆくことにほかならない」(p. 7)と絶賛している。
 ベイリーの主な作品は以下の通り(* は短編集)。

The Star Virus (1970) 『スター・ウィルス』
Annihilation Factor (1972)
Empire of Two Worlds (1972)
Collision with Chronos (1973) 『時間衝突』
The Fall of Chronopolis (1974) 『時間帝国の崩壊』
Soul of the Robot (1974) 『ロボットの魂』
The Garments of Caean (1976) 『カエアンの聖衣』
The Grand Wheel (1977)
Star Winds (1978)
The Knights of the Limits (1978)* 『シティ5からの脱出』
The Seed of Evil (1979)*
The Pillars of Eternity (1982) 『永劫回帰』
The Zen Gun (1983) 『禅〈ゼン・ガン〉銃』
The Forest of Peldain (1985)
The Rod of Light (1985) 『光のロボット』
Eye of Terror (1999)
The Sinners Of Erspia (2002)
The Great Hydration (2002)


Bell, Alan J. W.  アラン・J・W・ベル

 テレビ・ドラマ版『銀河ヒッチハイク・ガイド』のディレクター兼プロデューサー。
 その他の代表作には、テリー・ジョーンズマイケル・パリン主演の『リッピング・ヤーン』など。


Benn, Mitch  ミッチ・ベン

 イギリスのミュージシャン/コメディアン。2005年にラジオドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』第5シリーズの第1話に、ナウホワット惑星のインフォメーション・デスクでアーサーに応対するエイリアン(Pseudopodic Creature)役で出演した。
 小説『ほとんど無害』では、このエイリアンは「ピントルトン・アルファ星の再定住支援センター」の「デスクの向こうに陣取る奇妙な物体」(p. 147)として登場する。このエイリアンには、もともと特定の名前はない。ラジオドラマの役名として付けられた Pseudopodic とは、アメーバのような生き物が動く時に足のように使う細胞質の突起を意味する仮足('Pseudopodia')を形容詞化した一種の造語で、原作小説でこのエイリアンが「いらいらと脈打っていた。仮足のようなものでデスクをこつこつ叩いている」(p. 149)に由来する。
 ラジオドラマと小説とでは違うデスクに座っているので、当然ながらアーサーとエイリアンとの間で交わされる会話もラジオドラマと小説とでは違う。ラジオドラマ版で交わされる実際のやり取りは、小説版でアーサーが航宙会社に苦情を申し入れた時の内容に近い。超空間ジャンプの直後にフェンチャーチが姿を消したことに対し、係員はアーサーに航宙券の条項をよく読むように促す。そこには「プルーラル帯に起源のある人または物は、超空間飛行は避けることが望ましい、どうしても避けられない場合は自己責任においておこなうこと、と書かれていた」(p. 98)。なお、ラジオドラマ版のエイリアンをテレパシー能力があるという設定に変更したのは、いちいちアーサーに事情を説明させずに話を進めるのに都合がいい、と、脚本家のダーク・マッグスが考えたためである。
 それから8年後、2013年に『銀河ヒッチハイク・ガイド』のライブツアーが再上演された際には、前年のマーク・ウィング・ダーヴェーに替わってゼイフォード役を務めた。残念ながら、チケット売り上げ不振という理由でツアー途中で中止になってしまったけれど、同じ年の11月に「SF MASTERWORKS」の一冊として発売された『宇宙の果てのレストラン』に序文を寄せ、自身と『銀河ヒッチハイク・ガイド』との出会いについて書いている。
 また、彼が2013年に初めて出版したヤングアダルト向けSF小説 Terra の表紙には、ニール・ゲイマンの推薦コメントが掲載されている。'I found myself thinking of Roald Dahl, Douglas Adams & Terry Pratchett. Wise, funny, and above all, human'. Terra には『銀河ヒッチハイク・ガイド』の影響が見て取れるし、相通じるユーモアのセンスもあるが、ミッチ・ベンはダグラス・アダムスの二番煎じとなる危険を上手に回避して、かわいらしくも愛おしい物語を作り上げた。興味のある方は是非ご一読あれ。翌2014年には、シリーズ2作目 Terra's World も出版している。
 2015年3月14日にBBCラジオ4で放送された 'Did Douglas Get It Right?' というタイトルの30分番組では、ホスト役を務めて、2000年放送のアダムスのラジオ番組 'The Hitchhiker's Guide to the Future' の未来予想はどのくらい正しかったのかを検証している。
 ミッチ・ベンはリバプール生まれ。エディンバラ大学卒業後、数々のコメディ・クラブで活躍した。ラジオ・パーソナリティとしてBBCラジオで冠番組を務めるかたわら、ミュージシャンとして何枚ものアルバムを発売している。


Bhaskar, Sanjeev  サンジーヴ・バスカー

 イギリスのインド系コメディ・ライター兼パフォーマー。2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケート「The Big Read」で、最終投票に向けてアンケートの上位21作品のヴィデオ・クリップが製作された時、バスカーは『銀河ヒッチハイク・ガイド』のプレゼンテーションを担い、アーサー・デント役も務めた。
 バスカーはエセックス生まれ。マーケティングの学位を持ち、IBMに勤務しながら執筆活動を続け、1996年にラジオ番組として始めた Goodness Gracios Me の脚本と出演で注目を集めた(後に同番組はBBC2でテレビ番組として製作される)。これまでに数多くのテレビ・ドラマやコメディに出演していて、中でもバスカーが脚本・主演を手掛けた代表作 The Kumars at No. 42 (2001年〜2006年)では、『銀河ヒッチハイク・ガイド』へのオマージュとして主人公クマー一家(The Kumars)の自宅の住所が「42番地 (at No. 42)に設定されている。
 これまでに出演した映画は、『ノッティング・ヒルの恋人』『デュアル・マトリックス』『タロットカード殺人事件』『ゼロの未来』『ミラクル・ニール!』など。2006年には、OBE(大英勲章第4位)を叙勲された。

 


Biggerstaff, Sean ショーン・ビガースタッフ 1983.3.15-

 イギリスの俳優。アダムスが書いた『ドクター・フー』の幻のエピソード、'Shada'が2002年にオーディオ・ドラマ化されることになった時に、声優として大学生のクリス・パーソンズ役を務めた。
 ビガースタッフを起用することに決めた理由として、監督のニコラス・ペッグはBBCのサイトに掲載されたインタビューの中でこう語っている。「役柄に近い年齢だったということもあるけれど、彼の声はポール・マッガンのメロウな声と良いコントラストを生むと思ったんだ。何しろクリスはストーリーのかなりの部分でドクターと行動を共にするから、こういうコントラストがあったほうが聴き手にはわかりやすいし、味わいも深まる」。
 一方のビガースタッフは、実はダグラス・アダムスの熱心なファンで、Shada の仕事は脚本を書いたのがアダムスだというだけの理由で迷わず引き受けたという。12歳の時に初めて『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読んで以来、『銀河ヒッチハイク・ガイド』は少なくとも年に一度は読み返しているのだとか。
 グラスゴー生まれ。アラン・リックマンに見出され、リックマンが監督した映画『ウインター・ゲスト』(1997年)に出演した。続いて『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002年)『ハリー・ポッターと死の秘宝  PART2』(2011年)でオリバー・ウッド役を演じている。『フローズン・タイム』(2006年)では主役を務めた。


Bloch, Spencer J. スペンサー・ブロック 1944.5.22-

 アメリカ人の数学者。数学者や数学史など、数学にまつわる記事やエッセイを掲載する専門雑誌、The Mathematical Intelligencer に、モーデル予想の証明に関する文章を寄稿し、その中で『銀河ヒッチハイク・ガイド』を引用した。この文章は、後に Mathematical Conversations のタイトルで2001年に出版された本の中に再録され、2006年には『数学を語ろう! 2 代数・数論・数学史篇』のタイトルで翻訳されている。

 大ざっぱにいうと,代数曲線というのは方程式∫(x, y) = 0 の解でKを含むような体に価を持つものすべての集合のことをいう.実際には,この言い方はいくつかの点で修正が必要である.一つには,この解の集合には「無限遠点」が含まれていない.無限遠に潜んでいる悪鬼の輩たちを見えないままにしておくのを避けるために(『ヒッチ・ハイクをする人たちへの銀河系への道案内』(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)1参照),射影空間を導入しよう.射影的 n-空間というのは,次元が n + 1 の線形空間の原点を通る直線全体の集合である.(p. 88)

 なお、同じページに、「1 [訳注]邦訳は『銀河ヒッチハイク・ガイド』(安原和見訳,河出書房新社,2005)」との脚注がついている。にもかかわらず、どうして本文中では『ヒッチ・ハイクをする人たちへの銀河系への道案内』と訳出されたのかよく分からない。いや、そもそも「無限遠に潜んでいる悪鬼の輩たちを見えないままにしておくのを避ける」という言葉が、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の一体どこに呼応しているのかさえ私には分からないのだが。
 ブロックはニューヨーク生まれ。ハーバード大学で学位を取り、コロンビア大学で博士号取得。プリンストン大学、ミシガン大学に勤めた後、シカゴ大学で教授に就任している。


Boyd, Billy  ビリー・ボイド 1968.6.28-

 イギリスの俳優。ラジオ・ドラマ版『ダーク・ジェントリー』で、リチャード・マクダフ役を務める。
 グラスゴー生まれ。ロイヤル・スコティッシュ・アカデミー・オブ・ミュージック&ドラマを卒業し、数々の舞台を踏んだ後、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズにピピン役で出演して一躍その名を知られるようになった。その他の映画出演作は、『マスター・アンド・コマンダー』(2003年)『チャイルド・プレイ/チャッキーの種』(2004年)『トップ・ランナー』(2006年)『オズの魔法使い』(2011年)など。


Boyd, Darren  ダーレン・ボイド 1971.1.30-

 イギリスの俳優。BBC製作のテレビ・ドラマ版『ダーク・ジェントリー』で、主人公ダークの友人リチャード・マクダフ役を務めた。
 ヘイスティングス生まれ。主な出演映画は、『トゥー・ピッグス』(2004年)、『四角い恋愛関係』(2005年)など。エドガー・ライト監督の映画『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』にもカメオ出演している。イギリスのコメディ・ドラマ『パパはスパイ』(2011年〜)では、ブリティッシュ・コメディ・アワードの主演男優賞(2011年)とBAFTAのコメディ部門主演男優賞(2012年)を受賞した。


Bragg, Melvyn  メルヴィン・ブラッグ 1939.10.6-

 イギリスの作家で、テレビやラジオのキャスターとしても活躍している。アダムスとは個人的に親交があったようで、ダンカン・テラスの自宅でアダムスが開いたホームパーティに招待され、ベン・エルトンらと語り合ったこともあったという(Webb, p. 180)。
 カンブリア州ウィグトン生まれ。オックスフォード大学で歴史を学び、その後はテレビ・ラジオの世界で放送作家・プレゼンターとして活躍する。そのかたわら、映画『裸足のイサドラ』(1968年)、『恋人たちの曲/悲愴』(1970年)、『ジーザス・クライスト・スーパースター』(1973年)の脚本執筆に携わり、また小説家としても多くの作品を出版し、1999年の The Soldier's Return ではW・H・スミス文学賞を受賞した。1998年には一代貴族の叙勲を受けている。
 残念ながら現在までのところブラッグの小説は日本語には翻訳されていないが、彼がBBCラジオ4で10年に亘りホスト役を務めた討論番組「スタート・ザ・ウィーク」を基に書いた『巨人の肩に乗って』や、英語の歴史を辿ったBBCのテレビ・シリーズを本にした『英語の冒険』なら読むことができる(なお、テレビ番組についても、2006年に『英語の冒険:壮大な波乱万丈の冒険物語』のタイトルでDVDが発売された)。ブラッグとアダムスが知り合ったきっかけは分からないが、この2冊を読む限り、彼らが出会って意気投合したとしても不思議はない。


Brett, Simon  サイモン・ブレット 1945.10.28-

 イギリスの推理小説家。BBCのプロデューサー時代に、ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』の企画を採用し、無名の一ライターだったアダムスに脚本執筆のチャンスを与えた。
 イギリス南部のサリー州ウスター生まれ。ロンドンのダリッジ大学で学んだ後、1967年にオックスフォード大学ウォダム・カレッジに入学、英語学を学ぶかたわら、同大学の演劇部(OUDS)の部長を務める。1967年のエジンバラ・フェスティバル・フリンジで、オックスフォード・シアター・グループによる深夜ショーの演出を手掛けたこともあるらしい。大学卒業後はBBCに入社、プロデューサーあるいはライターとして数々の賞を受賞する一方、1970年には最初の劇作 Mrs. Gladys Moxon を上演し、また1975年には俳優探偵チャールズ・パリスが登場する長編推理小説『邪魔な役者は消えていく』で推理小説家としてもデビューを果たした。約10年間BBCを勤めた後、1978年からウィークエンド・テレビジョンに移りプロデューサーとして活動するが約2年で退職、現在は執筆活動に専念している。人気の高いチャールズ・パリス・シリーズだけでも17冊を上梓し、また1986年から1987年にかけて英国推理作家協会会長を務めた。2016年には、文学への貢献が認められ大英国勲章(OBE)を叙勲されることになった。
 ブレットがアダムスと知り合うのは、彼がまだBBCのプロデューサーだった頃のこと。ブレットがプロデュースしていたBBCラジオ4のコメディ番組、the Burkiss Way に、アダムスはいくつかのスケッチを投稿したことがあり、ブレットはその中でも「カミカゼ」と題された作品を気に入っていた。が、実際に二人が顔を合わせたのは、1977年2月4日、当時やはりBBCのプロデューサーだったジョン・ロイドの紹介だったという。この時、ブレットはアダムスが抱えていたSFコメディの企画に目をつけ、ラジオ・ドラマの製作にとりかかるが、第1話をプロデュースした時点でBBCを退職することになり、後任にはジェフリー・パーキンスを指名した。
 実質的には、ブレットはラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』の製作にはほとんど関わりを持たなかった。しかし、1977年当時のBBCがSFとコメディの融合というアイディアに懐疑的だったことを考えると、既にベテラン・プロデューサーとして名を馳せていたブレットのゴーサインなしでは製作されることすらなく終わった可能性は高い。故に、シリーズ2作目の小説『宇宙の果てのレストラン』の献辞で、アダムスが「すべてを始めたサイモン・ブレットに たくさんの感謝を」と記しているのは極めて妥当と言えるだろう。
 なお、後にブレットが編集したパロディ本 The Faber Book of Parodies (London: Faber and Faber, 1984) には、"The Scriptwriter's Guide to the Galaxy" (Andrew Marshall and David Renwick) という、The Burkiss Way からの一節も入っている。
 また、2009年9月1日に小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』30周年を記念してパン・ブックスから新装版のペーパーバック『宇宙クリケット大戦争』が出版された際には、序文を寄せた。
 ブレットの主な著作は以下の通り(*はチャールズ・パリス・シリーズ)

Cast, in Order of Disappearance (1975)* 『邪魔な役者は消えていく』 飯島宏訳 角川文庫 1981年
So much Blood (1976)*
Star Trap (1977)* 『スターは罠にご用心』 飯島宏訳 角川文庫 1982年
An Amateur Corpse (1978)* 『殺しの演出教えます』 飯島宏訳 角川文庫 1984年
A Comedian Dies (1979)*
The Dead Side of the Mike (1980)*
Situation Tragedy (1981)*
Murder Unprompted (1982)*
Murder in the Title (1983)*
Not Dead, Only Resting (1984)*
A Shock to the System (1984) 『殺意のシステム』 加地美知子訳 ハヤカワ・ミステリ 1986年
Dead Romantic (1985) 『死のようにロマンチック』 嵯峨静江訳 ハヤカワ・ミステリ 1986年
Dead Giveaway (1985)* 『毒殺は公開録画で』 藤本直訳 角川文庫 1987年
A Box of Tricks (1985)
A Nice Class of Corpse (1986) 『気取った死体』 嵯峨静江訳 ハヤカワ・ミステリ 1988年
The Three Detectives and the Missing Superstar (1986) (ジュブナイル小説)
What Bloody Man Is That? (1987)* 『あの血まみれの男は誰だ?』 嵯峨静江訳 ハヤカワ・ミステリ 1988年
The Three Detectives and the Knight in Amour (1987) (ジュブナイル小説)
Mrs., Presumed Dead (1988) 『奥様は失踪中』 堀内静子訳 ハヤカワ・ミステリ 1989年
A Series of Murders (1989)* 『連続殺人ドラマ』 堀内静子訳 ハヤカワ・ミステリ 1990年
The Booker Book (1989)
Mrs. Pargeter's Package (1990) 『手荷物にご用心』 堀内静子訳 ハヤカワ・ミステリ 1991年
Corporate Bodies (1991)* 『死体つき会社案内』 近藤麻里子訳 ハヤカワ・ミステリ 1994年
The Christmas Crimes at Puzzel Manor (1991)
Mrs. Pargeter's Pound of Flesh (1992) 『ダイエット中の死体』 堀内静子訳 ハヤカワ・ミステリ 1994年
How to be a Little Sod (1992) 『わるガキ日記―ボクはあぶない0歳児』 鈴木光司訳 光文社 2000年
A Reconstructed Corpse *(1993)
Singled Out (1995)
Sicken and So Die (1995)*
Mrs. Pargeter's Plot (1996)
Dead Room Farce (1997)*
Mrs Pargeter's Point of Honour (1999)
The Body on the Beach (2000)
Death on the Downs (2001)
Torso in the Town (2002)
Murder in the Museum (2003)
The Hanging in the Hotel (2004)
The Witness at the Wedding (2005)
The Stabbing in the Stables (2006)
Death under the Dryer (2007)
Blood at the Bookies (2008)
Poisoning at the Pub (2009)
The Shooting in the Shop (2010)
Bones Under the Beach Hut (2011)
Guns in the Gallery (2011)
Corpse on the Court (2012)
Strangling on the Stage (2013)
A Decent Interval (2013)*
The Tomb in Turkey (2014)
The Cinderella Killer (2014)*
Mrs Pargeter's Principle (2015)
The Killing In The Cafe (2015)
Mrs Pargeter's Public Relations (2017)
The Liar In The Library (2017)


Brin, David デイヴィッド・ブリン 1950.10.6-

 アメリカのSF作家。ダグラス・アダムスのファンでもあるらしく、『銀河ヒッチハイク・ガイド』25周年を記念して出版された The Hitchhiker's Guide to the Galaxy: 25th Anniversary Edition に一言コメントを寄せた。
 カリフォルニア州グレンデイル生まれ。カリフォルニア工科大学で天文学を学び、カリフォルニア大学で応用物理学の修士号と宇宙科学の博士号を取得している。
 ブリンの主な著作は以下の通り(*はグレゴリー・ベンフォードとの共作)。

Sundiver (1980)  『サンダイバー』  早川書房 1986年
Startide Rising (1983)  『スタータイド・ライジング』  早川書房 1985年
The Practice Effect (1984)  『プラクティス・エフェクト』  早川書房 1986年
The Postman (1985) 『ポストマン』  早川書房 1988年
Heart of the Comet (1986)* 『彗星の核へ』  早川書房 1988年
The Uplift War (1987)  『知性化戦争』  早川書房 1990年
Earth (1990)  『ガイア -母なる地球』  早川書房 1992年
Glory Season (1993)  『グローリー・シーズン』  早川書房 1999年
Brightness Reef (1995)  『変革への序章』 早川書房 2001年
Infinity's Shore (1996) 『戦乱の大地』 早川書房 2002年
Heaven's Reach (1998) 『星海の楽園』 早川書房 2003年
Foundation's Triumph (1999)  『ファウンデーションの勝利』  早川書房 2001年
Kiln People(2002)  『キルン・ピープル』  早川書房 2007年
Tomorrow Happens (2003)



Broadbent, Jim  ジム・ブロードベント 1949.5.24-

 イギリスの俳優。ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』第1シリーズ第4話で、ヴルームフォンデルとシューティ(惑星マグラシアで、アーサー達に発砲するふたりの警官のうちの一人。小説では役名はついていないが、ラジオ・ドラマではこの2人はシューティとバン・バンという名前になっている)の2役を演じ、レコード化のために再録された時にはバン・バン役を演じた。また、2018年3月から放送開始となるラジオドラマ第6シリーズでは、スティーヴン・ムーアに替わってマーヴィン役を務めている。
 リンコルン生まれ。1972年にロンドン・アカデミー・オブ・ミュージック・アンド・アート(LAMDA)を卒業し、ロイヤル・ナショナル・シアターやロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台に立った。1978年に The Shout の端役で映画デビューを果たし、多くの映画やテレビで脇役を務めた後、マイク・リー監督の映画『ライフ・イズ・スウィート』で主役を演じて注目を集めた。近年では、『ムーラン・ルージュ』で英国アカデミー賞助演男優賞を、『アイリス』でアカデミー助演男優賞と英国アカデミー賞主演男優賞を受賞している。
 オスカー俳優のブロードベントも、ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出演した1978年当時はまだ無名の一俳優だったようで、アダムスもパーキンスも特に彼についてのコメントは残していない。
 ブロードベントの主な出演映画は以下の通り。

The Dogs of War (1980)  『戦争の犬たち』
Time Bandits (1981) 『バンデッドQ』
Brazil (1985)  『未来世紀ブラジル』
Superman IV: The Quest for Peace  『スーパーマン4/最強の敵』
Erik the Viking (1989)  『エリック・ザ・バイキング/バルハラへの航海』
Life Is Sweet (1990)  『ライフ・イズ・スウィート』
Enchanted April (1992)  『魅せられて四月』
The Crying Game (1992) 『クライング・ゲーム』
Princess Caraboo (1994) 『プリンセス・カラブー』
Bullets Over Broadway (1994) 『ブロードウェイと銃弾』
Richard III (1995)  『リチャード三世』
Rough Magic (1995)  『ラフ・マジック』
The Secret Agent (1996)  『シークレット・エージェント』
Smilla's Sense of Snow (1997) 『陰謀のシナリオ』
The Borrowers (1997)  『ボロワーズ/床下の小さな住人たち』
The Avengers (1998) 『アベンジャーズ』
Little Voice (1998)  『リトル・ヴォイス』
Topsy-Turvy (1999)  『トプシー・ターヴィー』
Bridget Jones's Diary (2001) 『ブリジット・ジョーンズの日記』
Moulin Rouge! (2001)  『ムーラン・ルージュ』
Iris (2001)  『アイリス』
Gangs of New York (2002)  『ギャング・オブ・ニューヨーク』
Around the World in 80 Days (2004) 『80デイズ』
Vanity Fair (2004)  『悪女』
Vera Drake (2004)  『ヴェラ・ドレイク』
Bridget Jones's Diary: The Edge of Reason (2004) 『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12か月』
The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe (2005)  『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』
Art School Confidential (2004)  『アートスクール・コンフィデンシャル』
Hot Fuzz (2007) 『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』
Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull (2008) 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
Harry Potter and the Half-Blood Prince (2009) 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
The Damned United (2009) 『くたばれ!ユナイテッド ―サッカー万歳ー』
The Young Victoria (2009) 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1 (2010) 『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』
Another Year (2010) 『家族の庭』
Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 2 (2011) 『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』
The Iron Lady (2011) 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
Cloud Atlas (2012) 『クラウド アトラス』
Filth (2013) 『フィルス』
le Week-End (2013) 『ウィークエンドはパリで』
Closed Circuit (2013) 『クローズド・サーキット』
Big Game (2014) 『ビッグ・ゲーム 大統領と少年ハンター』
Paddinton (2014) 『パディントン』
Brooklyn (2015) 『ブルックリン』
The Lady in the Van (2015) 『ミス・シェパードをお手本に』
Eddie the Eagle (2016) 『イーグル・ジャンプ』
The Legend of Tarzan (2016) 『ターザン:REBORN』
Bridget Jones's Baby (2016) 『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』
The Sense of an Ending (2017) 『ベロニカとの記憶』
Paddinton 2 (2017) 『パディントン2』



Brock, Jonathan Simon  ジョナサン・サイモン・ブロック 1952-2007

 アダムスとは大学時代からの友人で、小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』の献辞に登場する「ジョニー・ブロック」は彼のことである。
 ブロックは、ケンブリッジ大学の二年次に、スー・リム演出の舞台「恋がたき」でアダムスと初めて共演した。ブロックはエイカーズ役でアダムスはサー・オトリガー役、二人はヒロインのリディアをめぐって争うことになるのだが、二人の決闘シーンについてブロックいわく、「僕らは5公演やったが、決闘の結果はダグラスが剣を鞘から抜けるかどうかにかかっていた」。
 大学を卒業した後、ブロックは見習い法廷弁護士として働き、妻クレア・ゴーストや友人ジョン・カンターらと共にイズリントン地区のアーリントン・アベニューの家で暮らし始める。やがてそこに、仕事がなくて金欠状態だったアダムスが転がり込む形となったが、彼らはそんなアダムスを暖かく迎えた。アダムスがラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』第1シリーズの脚本執筆が佳境に入った頃には、ブロックの妻クレアの妊娠が分かったため、アダムスは占拠していたソファから立ち去ることになったが、ちょうど別のフラットに引っ越そうとしていたジョン・カンターに誘われ、今度はカンターとフラットを共有することになる(この時の同居生活については、ジョン・カンターのインタビュー記事 "I Was Douglas Adams's Flatmate" に詳しい)。
 アダムスがブロックらに抱いた感謝の気持ちは、後に小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』の献辞「お茶と同情とソファをありがとう」という形で結実する。さらに、ジョニー・ブロックに関してアダムスは『銀河ヒッチハイク・ガイド』にもう一つ別の内輪受けジョークを潜ませた。25章に登場する「ブロッキアン・ウルトラ・クリケット」(安原訳、p. 223)とは、熱心なクリケット・ファンだったブロックにちなんで命名されたものである。
 アダムスとブロックの交友関係は、それから先も家族ぐるみで続く。アダムスがブロックと知り合ったのがケンブリッジ大学在学中なら、妻のジェーンのほうはブロックとは高校時代の同級生だった(ジェーンはオックスフォード大学に進学したが)。ブロックいわく、「二人ともすごく背が高くてすごく頭が良くておまけに頑固で意志が固い。とても良いカップルだと思った」(Hitchhiker, p. 183)。頑固者同士とは言え、ブロックの見る限り、結局はジェーンが譲歩してアダムスの意向を受け入れていたようだが。
 アダムスが親しい友人を呼んで、愛娘ポリーが一歳になったのを機にキリスト教の洗礼式の代わりになるようなオリジナルの会合を開いた折には、当然ブロックも招かれた。この会合の様子についてはアダムスの公式伝記に詳しく書かれているので、興味のある方はご確認あれ(pp. 251-253)。

 


Brookmyre, Christopher クリストファー・ブルックマイア 1968.9.6-

 イギリスのクライム・ノベル作家。BBCラジオ4 の『銀河ヒッチハイク・ガイド』コーナーのホームページに短いコメントを寄せ、読み手としても書き手としてアダムスから多大な影響を受けたと語っている。実際、日本語に翻訳された小説『楽園占拠』には、二カ所に亘って『銀河ヒッチハイク・ガイド』絡みの記述が見られる。

実際、ふたりを結びつけたのは、その過去かもしれなかった。銀河を旅していった先で同郷の士と出会ったら、その相手は頭が三つにオッパイが八つある現地の異星人の二倍は魅力的に思えるものだろう。たんに、おたがいおなじように壮大な旅をしてきたというだけでも。『銀河ヒッチハイク・ガイド』のアーサー・デントは宇宙を旅したうえに時間旅行までおこない、それでもなおシリーズ三作目にいたっても、まだトリシア・マクミランに執着していたではないか――もっとも、それをいうならロンドンっ子は昔からずっとそんなふうに排他的であったが。(p. 42)

 マットは一瞬、ギャビンに感心した。妻が手にしているショットガンを無視するだけでなく、いまやデイヴィ・マードックに食ってかかっているのだから。これはヴィクトリア十字勲章に価する勇気のあらわれか、フォード・プリーフェクト(『銀河ヒッチハイク・ガイド』に登場する記者)に匹敵する無謀さなのか、どちらかだった。(p. 467)

 また、彼の小説の主要登場人物、ジャーナリストのジャック・パーラベインもまた、フォード・プリーフェクトにインスパイアされて書かれたものだとか。
 グラスゴー生まれ。グラスゴー大学で学んだ後、映画やサッカーのコラムを執筆していたが、1996年にジャック・パーラベインが活躍する小説、『殺し屋の厄日』で作家としてデビュー、クライム・ノベルの新人賞を受賞した。小説の舞台がもっぱらスコットランドということもあり、どちらかと言うと地元スコットランドで特に人気が高い作家らしい。
 ブルックマイアの主な著作は以下の通り。(*は、ジャック・パーラベイン・シリーズ)

Quite Ugly One Morning (1996)* 『殺し屋の厄日』 ヴィレッジブックス 2007年
Country of the Blind (1997)*
Not the End of the World (1998)
One Fine Day in the Middle of the Night (1999) 『楽園占拠』 ヴィレッジブックス 2003年
Boiling a Frog (2000)*
A Big Boy Did It and Ran Away (2001)
The Sacred Art of Stealing (2002)
Be My Enemy (2004)*
All Fun and Games Until Someone Loses an Eye (2005)
A Tale Etched in Blood and Hard Black Pencel (2006)
Attack of the Unsinkable Rubber Ducks (2007)*
A Snowball In Hell (2008)
Pandaemonium (2009)
Where The Bodies Are Buried (2011)
When the Devil Drives (2012)
Bedlam (2013)
Flesh Wounds (2013)
Dead Girl Walking (2015)*
Black Widow (2016)*
Want You Go (2017)*

 この他に、短編小説「中央郵便局襲撃」("Bampot Central" 「ミステリマガジン」1998年6月507号収録)がある。また、デイヴィッド・テナントが『殺し屋の厄日』の、ビリー・ボイド Attack of the Unsinkable Rubber Ducks の朗読を手掛けている。


Brown, Spencer スペンサー・ブラウン

 イギリスの俳優。2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケート「The Big Read」で、最終投票に向けてアンケートの上位21作品のヴィデオ・クリップが製作された時、フォード・プリーフェクト役を務めた。
 ブラウンは、イギリスのコメディ・ライター兼パフォーマー。ケンブリッジ大学で哲学を専攻、フットライツ出身でもある。イギリスのテレビ・ドラマやコメディに出演している。


Buchanan, Margo マーゴ・ブキャナン

 イギリスのシンガーソングライター。夫のポール・'ウィックス'・ウィッケンズとともに、アダムスとは個人的に親交があった。ブキャナンいわく、アダムスは「典型的なアッパーミドルのケンブリッジ卒業生らしく、ちょっと人見知りなところはあった……でもそれって彼がすごく心の優しい人だったからだと思う。すごく優しくて、傷つきやすい一面があった」「彼は上手にカモフラージュしていたけれど、彼にはイノセンスな部分があった。よほど親しくならないと気付かないけどね」(Webb, p. 167)。2001年9月17日にロンドンで行われたアダムスの追悼葬儀では、ブキャナンは 'I Wannabe (A Rockstar)' を歌っている。
 ブキャナンはスコットランドのラナーク生まれ。12歳の時にイギリスに移り、16歳からバンド活動を始める。これまでにデイヴィッド・ギルモア、ジョニ・ミッチェル、エリック・クラプトンといった多くのミュージシャンのバックコーラスを務めた。2005年にデビュー・アルバム I should've Done This Years Ago を発表。このアルバムの製作には、ポール・'ウィックス'・ウィッケンズも参加していており、アダムスに献辞が捧げられているとのこと。 'I Wannabe (A Rockstar)' も、'Rockstar' のタイトルで収録されている。


Buxton, Adam アダム・バクストン 1969.6.7-

 イギリスのコメディ・コンビ、Adam & Joe のうちの一人。2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケート「The Big Read」で、最終投票に向けてアンケートの上位21作品のヴィデオ・クリップが製作された時、ランクウィル/ルーンクウォル(ディープ・ソートが究極の答えを計算するのを止めさせようとする哲学者と、750万年後にディープ・ソートから究極の答えを聞く男)の声を担当した。ガース・ジェニングス監督の映画『リトル・ランボーズ』にも出演している他、やはりジェニングス監督のCGアニメーション映画『SING』ではスタン役で声の出演を果たしている。


Bywater, Michael  マイケル・バイウォーター  1953.5.11-

 イギリスの作家。「オブザーバー」や「デイリー・テレグラフ」といった新聞、雑誌で多くのエッセイやコラムを執筆している。アダムスいわく、ダーク・ジェントリーのキャラクターは彼の性格をベースにしたのだとか(Hitchhiker, p.236)。
 アダムスは、ケンブリッジ大学の2年生だった時に、医学から英文学に専攻を変えたため他のカレッジからアダムスの所属するセント・ジョンズ・カレッジに移ってきたバイウォーターと知り合った。バイウォーターは飛行機の操縦ができ、ピアノの演奏も巧みな才人のようで、ケンブリッジ大学ではフットライツのメンバーではなかったものの、音楽演奏の手伝いなどもしていたらしい。が、二人が特に親密になるのは1980年代に入ってからのことで、1984年に製作されたコンピューター・ゲーム、Bureaucracy には彼の名前もクレジットされていているし、アダムスが小説『ほとんど無害』の執筆に行き詰まって1992年3月にとうとうホテルに缶詰にされてしまった折には、担当編集者と交互で見張り役を務めたこともあった(このため、『ほとんど無害』の献辞には「協力と援助と、そして建設的ないやがらせに」(p. 3)として、バイウォーターの名前も挙がっている)。さらにアダムスがデジタル・ヴィレッジを立ち上げると、バイウォーターも「Consulting Chaos Engineer」の肩書きでデジタル・ヴィレッジに参加し、アダムスと共に『宇宙船タイタニック』に必要な大量のダイアローグを用意し、また『宇宙船タイタニック』のウェブサイト用の文章も書いている。このため、一時は小説版『宇宙船タイタニック』を降板したアダムス本人に代わって執筆するという話が持ち上がり出版社も了承したのだが、契約直前でアダムスが気を変えてテリー・ジョーンズに依頼したため実現しなかった。
 この一件は、バイウォーターをかなり本気で怒らせた。アダムスは謝罪の手紙を送り、バイウォーターも一応それを受け入れ、仲直りしたものの、二人の関係は以前とまったく同じという訳にはいかなかったようだ。
 バイウォーターの主な著作は以下の通り。

The Chronicles of Bargepole (1993)
Godzone: Over the Outback and Into the Drink (1998)
Lost Worlds: What Have We Lost and Where Did It Go? (2004)
Big Babies: Or: Why Can't We Just Grow Up? (2006)

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