関連人物一覧 -P-

Pack, Roger Lloyd ロジャー・ロイド=パック
Palin, Michael マイケル・ペイリン
Pegg, Nicholas ニコラス・ペグ
Perkins, Geoffery ジェフリー・パーキンス
Phillips, Marie マリー・フィリップス
Pile, Stephen スティーブン・パイル
Pinker, Steven スティーブン・ピンカー
Planer, Nigel ナイジェル・プレイナー
Pratchett, Terry テリー・プラチェット
Priest, Christopher クリストファー・プリースト
Proulx, E. Annie E・アニー・プルー
Pryce, Jonathan ジョナサン・プライス
Purchase, Bruce ブルース・パーチェイス


Pack, Roger Lloyd  ロジャー・ロイド=パック 1944.2.8-2014.1.15

 イギリスの俳優。2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケート「The Big Read」で、最終投票に向けてアンケートの上位21作品のヴィデオ・クリップが製作された時、スラーティバートファースト役を務めた。
 これまでに数多くのテレビ・ドラマに出演しているが、日本で放送されたテレビ・ドラマは、『オリバー・ツイスト』(1999年)、新シリーズ『ドクター・フー』第2シーズン(2006年)、『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』(2012年)など。映画では、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005年)や『裏切りのサーカス』(2011年)に出演している。また、三谷幸喜の傑作戯曲『笑の大学』を英訳した舞台、The Last Laugh に検閲官役で出演し、2007年には喜劇作家役のマーティン・フリーマンと共に来日公演を果たした。


Palin, Michael  マイケル・ペイリン 1943.5.5-

 モンティ・パイソンのメンバーの一人。
 メンバーの中でも一番「いい人」として知られるペイリンだが、アダムスもそれを肯定する。「パイソンのメンバーには、グループの中で仲良し組と嫌い合っている組とがある。そのせいでいつもメンバーの誰と誰が喧嘩しているかという話になってしまうんだが、マイケルだけは別だ。マイクだけは、いついかなる時もメンバー全員に好かれていたよ」(Morgan, p. 172)
 ペイリン(以前は「パリン」と日本語で表記されることが多かったが、実際の発音に合わせてペイリンと表記されることが増えてきた。このサイトで「ペイリン」と「パリン」が混在しているのはそういう事情による)はヨークシャー州シェフィールド生まれ。オックスフォード大学に進学し、歴史を専攻する。在学中から学内のコメディ・サークルで活躍し、テリー・ジョーンズと知り合った。ジョーンズとの共同作品で高い評価を得て、大学卒業後も二人で活動を続け、ケンブリッジ組のクリーズチャップマンアイドルにアメリカ人のテリー・ギリアムを加えた計6人でモンティ・パイソンを結成することになる。モンティ・パイソンとしての活動が下火になると、再びジョーンズと組むようになり、その代表作がBBCのコメディ『リッピング・ヤーン』(1977)である。(なお、この番組の一部でプロデューサーを務めたアラン・J・W・ベルが、後にテレビ・ドラマ版『銀河ヒッチハイク・ガイド』を担当することになる)。
 近年は役者として多くの映画・テレビ番組に出演する一方、飛行機を使わないという条件で80日以内に世界一周を目指す『80日間世界一周』(Around the World in 80 days)や、北極から南極までを地上で移動する『ポール・トゥー・ポール』(Pole to Pole)といったドキュメンタリーの旅行番組も手がけている。
 モンティ・パイソン以外の主な出演映画は以下の通り(ギリアムの映画にもジョーンズの映画にもクリーズの映画にも出演している辺り、アダムスの指摘通りペイリンの人柄をしのばせるではないか)。

Jabberwocky (1977) 『ジャバーウォッキー』
Time Bandits (1981) 『バンデッドQ』
The Missionary (1992) 『ストップ・ザ・売春天国』
Brazil (1985) 『未来世紀ブラジル』
A Fish Called Wanda (1988)  『ワンダとダイヤと優しい奴ら』
American Friends (1991) 『オックスフォードの恋』
Wind in the Willows (1996) 『たのしい川べ』
Fierce Creatures (1997) 『危険な動物たち』
Absolute Anything (2015) 『ミラクル・ニール!』
The Death of Stalin (2017) 『スターリンの葬送狂騒曲』


Pegg, Nicholas  ニコラス・ペグ

 イギリスの俳優・演出家・脚本家。アダムスが脚本を書き、未完に終わった『ドクター・フー』のエピソード、Shada が2002年にオーディオ・ドラマ化された時に、監督を務めた。
 ペグが初めて『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読んだのは、12歳の時だった。誕生日プレゼントとして本をもらい、あまりのおもしろさに最初から最後まで二時間ほどで一気に読んでしまったのだとか。
 エクセター大学で英文学を専攻した後に、演技を学ぶ。イギリス各地のさまざまな劇場で、シェイクスピアからアガサ・クリスティまで、さまざまな作品で出演・演出する一方で、舞台用の脚本も書いている。1999年からはオーディオ・ドラマ版『ドクター・フー』の監督を手掛け、複数のドクター役の俳優と仕事をすることに('Shada' では8代目ドクターのポール・マッギャンを起用)。また、2005年から始まったテレビ・ドラマ『ドクター・フー』新シリーズでは、敵役エイリアン、ダーレクのオペレーターをこなしている。
 この他に、多くのカルチャー雑誌に記事を寄稿し、デイヴィッド・ボウイに関する情報を網羅した The Complete David Bowie の著者という顔も合わせ持つ。


Perkins, Geoffery ジェフリー・パーキンス  1953.2.22-2008.8.29

  イギリスのコメディ番組のプロデューサー。1977年、元々のプロデューサーだったサイモン・ブレットのBBC退職の跡を継いで、ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』のプロデューサーを務めた。
 グラマー・スクール在学中から同級生らとディベート・クラブを運営し、その中の一人だったクライヴ・アンダーソンとは一緒に脚本を書いて学校で上演したりもしていた。オックスフォード大学に進学し、オックスフォード・レヴュー等で活躍していたが、卒業後はいったんリヴァプールの船の運送会社に就職、それからBBCラジオに勤務することになる。
 1978年、サイモン・ブレットの後任として、ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』を製作。この時知り合ったスタジオ・マネージャーのリサ・ブラウンとは、1986年に結婚している。1980年代後半からは独立プロダクション会社、ハットトリック・プロダクションを立ち上げ、ディレクターとして約8年間、ハリー・エンフィールドが出演するコメディ番組を始め、『スピッティング・イメージ』、Father Ted(1995年)、ベン・エルトンとの共作による『シン・ブルー・ライン』(1995年)など、数々のテレビ番組を手掛けた。1995年5月には、BBCテレビのHead of Comedy に就任。が、2001年にはコメディ番組を見下しがちなBBC上層部に見切りをつけ、独立プロダクション会社のタイガー・アスペクツに移り、「キャサリン・テイト・ショウ」(2004年)などの番組を製作する。2008年8月29日の午前9時半頃、ロンドン中心部のメリルボーン・ハイ・ストリートで交通事故のため死去。車道に倒れかかったところ、タイミング悪く走ってきたトラックにはねられたらしい。その翌週からは、パーキンスが手掛けていたハリー・エンフィールド出演の新番組が放送される予定だった。享年55歳。
 パーキンスがアダムスと直接一緒に仕事をしたのは、ラジオ・ドラマ版『銀河ヒッチハイク・ガイド』だけだったが、1985年にラジオ・ドラマの脚本が出版された際には、序文を書くのみならず編集も担当している。各エピソードごとに、主にパーキンスによって書かれた丹念な註がついていて、製作時の様子やさまざまなアイディアの誕生秘話を知ることができ、大変興味深い。2003年に発売された25周年記念版でも、新たな序文を追加して書いている。さらに、2005年に放送されたラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』第4シリーズでは、地球に戻って来たアーサー・デントの上司役としてカメオ出演も果たしている。
 この他にも、アダムスが亡くなった際の追悼番組や、『銀河ヒッチハイク・ガイド』が映画化された時の特別番組等にいくつか出演しているが、2002年に製作されたアダムスのドキュメンタリー・ビデオ、Life, the Universe, and Douglas Adams にもパーキンスへのインタビューが入っているので、興味のある方は是非ご覧あれ。
 亡くなる数ヶ月前の2008年3月12日には、ロンドンの王立地理学協会で行われた第6回ダグラス・アダムス記念講演で、パーキンスはラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』30周年記念のスペシャル・ゲストとして登場していた。
 


Phillips, Marie  マリー・フィリップス 1976.4.22-

 イギリス人の作家。2007年に発表したデビュー作『お行儀の悪い神々』は、コミック・ノベルとして高い評価を得た。2010年8月25日、彼女が自身の公式ブログに書いたエッセイ 'In which I am patronised by a soup'には、"All of which reminds me of that brilliant scene in Restaurant at the End of the Universe, by the late, great, and apparently prophetic, Douglas Adams, when Arthur Dent meets the cow that is soon going to be his dinner" として、『宇宙の果てのレストラン』の「本日の料理」の場面が長々と引用されている。
 この一文をもってしてもフィリップスがアダムスのファンであることは間違いないと思われるが、2011年6月27日付でアップされたブログでは、もっとはっきり書かれることに。

As an aside, I'd mention that the books that really influenced my writing, like Good Omens, and also the early Pratchett Discworld books and all of Douglas Adams, are books I read at least twenty years ago as a teenager, whereas the books I read and love now seem to have no bearing on my writing at all. This makes me think that influences work most deeply when your mind is still forming. I still get inspired by other people's work, but influenced not so much.

 文章を書く上で一番影響を受けたのは、テリー・プラチェットの初期のディスクワールド作品とダグラス・アダムスの全著作。初めて読んだのは20年くらい前、まだティーンエイジャーだった頃のことで、若かっただけにもっとも深く影響されたと思う――簡単に要約するとこういう意味だと思うが、実際、フィリップスが言う通り、彼女の小説『お行儀の悪い神々』の中に、アダムスの影響を感じることができる。単純に、人間が信仰を失った後も不死の神々は死ぬことなく生き続け、今なおこの地球上で所在なげに暮らしている、という『お行儀の悪い神々』の基本設定は、アダムスの Long, Dark Tea-Time of the Soul に似ている、というだけなら、ニール・ゲイマンの『アメリカン・ゴッズ』を始め、似たような作品は他にいくらでもある。だが、ギリシャ神話をモチーフにした『お行儀の悪い神々』においてイズリントン地区にあるエンジェル駅の地下鉄フォームが黄泉の国への入り口となっているのは、北欧神話をモチーフにした Long, Dark Tea-Time of the Soul においてセント・パンクラス駅のプラットフォームがヴァルハラへの入り口となっていたのに呼応している、と考えるのは穿ち過ぎだろうか。あるいは、女神アルテミスが登場人物の一人に向かって言う、こんな台詞。
 
 「すべてのものごとが、目に見えるままのものであるとはかぎらないわ」(p. 250)
 
 しかし、フィリップス本人にツイッター経由で『お行儀の悪い神々』と Long, Dark Tea-Time of the Soul の関連性について質問したところ、"I'd read it but I hardly remembered it. I deliberately didn't go back and read it again, because I wanted to keep GBB fresh." とのことだった(親切なご返事、ありがとうございました)。
 フィリップスはロンドン生まれ。ケンブリッジ大学で文化人類学とドキュメンタリー映画製作を学び、卒業後はテレビの仕事をしていた。2003年に作家を志して退職、書店で働くかたわら『お行儀の悪い神々』を執筆した。その他の作品には、ロバート・ハドソンとの共作によるラジオ・ドラマ Warhorses of Letters (2011)や、アーサー王伝説がモチーフのコミック・ノベル The Table of Less Valued Knights (2014)、シェイクスピアがモチーフのコミック・ノベル Oh, I Do Like To Be... (2019)がある。


Pile, Stephen  スティーブン・パイル

 The Book of Heroic Failure (1979) の著者。
 アダムスいわく、アーサー・デントもこのヒーロー像の系譜に入るとのこと。


Pinker, Steven  スティーブン・ピンカー 1954.9.18-

 進化心理学の学者で、現在はマサチューセッツ工科大学教授。アダムスは彼の著作を愛読していたらしい。2008年3月12日には、ロンドン・王立地理学協会で開催される第6回ダグラス・アダムス記念講演の講演者を務めた。演題は、"The Stuff of Thought, Language as a Window into Human Nature"(「思考する言語 「ことばの意味」から人間性に迫る」)。
 ピンカーは、カナダ・モントリオール生まれ。1976年にアメリカに移住し、1980年に市民権を取得。ノーム・チョムスキーの言語理論を踏まえて、ヒトにとって言語とは社会的・文化的なものではなく生得的に備わるもの(言語本能)であるという、言語生得説を提唱する。そして、初めて言語を本能とみなしたのがダーウィンであり、またダーウィンの自然淘汰による進化論こそが、人の言語本能に対する唯一の説明であるとも語る。
 進化心理学とは、従来の行動主義心理学が生まれたばかりのヒトは「白い板」のようなもので、生まれてからの環境や教育によってすべてが決定するという考え方だったのに対し、ヒトもあくまで生物の一つと捉え、進化論的な視点からヒトの心理を探るというもの。分子生物学者リチャード・ドーキンスによる、生物の進化は自己複製を目的とする「利己的な遺伝子」によって説明できるという主張も、進化心理学の発展に寄与しているが、その一方でこのような進化論的人間観に異を唱える学者もまだ少なくない。
 主な著作は以下の通り。

The Language Instinct (1994) 『言語を生みだす本能(上)(下)』 NHKブックス 1995年
How the Mind Works (1997) 『心の仕組み 人間関係にどう関わるか(上)(中)(下)』 NHKブックス 2003年
Words and Rules: The Ingredients of Language (1999)
The Blank Slate: The Modern Denial of Human Nature (2002) 『人間の本性を考える 心は「空白の石版」か(上)(中)(下)』 NHKブックス 2004年
The Stuff of Thought: Language as a Window into Human Nature (2007) 『思考する言語 「ことばの意味」から人間性に迫る(上)(中)(下)』 NHKブックス 2009年
The Better Angels of Our Nature: The Decline of Violence in History and Its Causes (2011) 『暴力の人類史 (上)(下)』 青土社 2015年


Planer, Nigel  ナイジェル・プレイナー 1953.2.22-

 イギリスの俳優。2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケート「The Big Read」で、最終投票に向けてアンケートの上位21作品のヴィデオ・クリップが製作された時、マーヴィンの声を担当した。
 コメディ・ライター兼パフォーマーとしての顔も持ち、数多くのイギリスのテレビ番組に出演・脚本の両面から貢献している。また、『エビータ』『シカゴ』『ウィ・ウィル・ロック・ユー』『ヘアスプレー』など、多くのミュージカル作品でロンドン・ウエストエンドの舞台を務めた。テリー・プラチェットの小説〈ディスクワールド〉シリーズの朗読CDでも知られている。主な映画出演は『楽しい川べ』(1996年)など。


Pratchett, Terry  テリー・プラチェット 1948.4.28-2015.3.12

 イギリスのユーモア・ファンタジー作家。
 イングランド南部のビーコンズフィールド生まれ。ジャーナリストとして働くかたわら、児童書を執筆、1983年に出版した『ディスクワールド騒動記』で人気を博し、1987年から著作に専念することになった。1998年にはOBEに叙勲され、〈ディスクワールド〉シリーズの番外編『天才ネコモーリスとその仲間たち』で2002年度カーネギー賞を受賞している。
 代表作〈ディスクワールド〉シリーズは、現在では計30作を越える。日本語に翻訳されたものの中では、2000年12月に発売された『伝説は永遠に 3』(ハヤカワ文庫)が一番手に入れやすい。この本には〈ディスクワールド〉シリーズの短編「海は小魚でいっぱい」とその解説が入っていて、それによると「イギリス全土で売られた書籍の一パーセントがプラチェットの本だったという報告のある年だったあるくらい」(p.485)に英米では人気があるとのこと。
 その作風から、どうしてもアダムスと比して語られることが多いようで、実際『銀河ヒッチハイク・ガイド』の解説本を書いたニール・ゲイマンが1990年にプラチェットと共著を発表したりしているくらいだから、基本的なテイストは似ているのかもしれない。前記の短編しか読んでいない私には、「似ても似つかぬ(しかし、まったく似ていないとも言いきれぬ)」としか思えなかったが、〈ディスクワールド〉シリーズ第1作目についてBritish Book News (June, 1985, p.329) には以下のような書評があった。

The spirit of Douglas Adams, meanwhile, is at play elsewhere, in The Colour of Magic by Terry Pratchett. It was inevitable that someone should make fun of sword-and-sorcery in the same way Adams has of science fiction.

 ちなみに、slashdotのインターネット質問受付コーナーに寄せられた「プラチェットと比較されることについてどう思いますか」という質問に対して、2000年6月21日付けでアップロードされたアダムスの解答は「何とも言えない。プラチェットの本は読んだことがないから」だった。
 プラチェットの主な著作は以下の通り(* はディスクワールド・シリーズ、** は児童書でJohnny Maxwell シリーズ)

The Carpet People(1971/92)
The Dark Side of the Sun(1976)
Strata(1981)
The Colour of Magic* (1983) 『ディスクワールド騒動記 1』 角川文庫 1991年
The Light Fantastic* (1986)
Equal Rites* (1987) 『魔道士エスカリナ』 三友社出版 1997年
Mort*(1987) 『死神の館』 三友社出版 1997年
Sourcery* (1988)
Wyrd Sisters* (1988) 『三人の魔女』 三友社出版 1997年
Pyramids* (1989) 『ピラミッド』 鳥影社 1999年
Truckers (1989) 『トラッカーズ  遠い星からきたノーム1』 講談社 1992年
Guards! Guards! * (1989)
The Unadulterated Cat(1989)
Eric*(1990)
Moving Pictures* (1990)
Diggers (1990) 『ディガーズ  遠い星からきたノーム2』 講談社 1992年
Wings (1990) 『ウィングス  遠い星からきたノーム3』 講談社 1992年
Reaper Man* (1991) 『刈り入れ』 鳥影社 2004年
Witches Abroad* (1991)
Small Gods* (1992) 『異端審問』 鳥影社 2000年
Lords and Ladies* (1992)
Only You Can Save Mankind** (1992)
Men at Arms* (1993)
Johnny and the Dead**(1993) 『ゴースト・パラダイス』 講談社文庫 1994年
Soul Music* (1994) 『ソウル・ミュージック』 鳥影社 2006年
Interesting Times* (1994)
Maskerade* (1995)
Johnny and the Bomb**(1995)
Feet of Clay* (1996)
Hogfather* (1996)
Jingo* (1997)
The Last Continent* (1998)
Carpe Jugulum* (1998)
The Fifth Elephant* (1999)
The Truth* (2000)
Thief of Time* (2001)
The Last Hero* (2001)
The Amazing Maurice and His Educated Rodents* (2001) 『天才ネコモーリスとその仲間たち』 あすなろ書房 2004年
Night Watch* (2002)
The Wee Free Men* (2003) 『魔女になりたいティファニーと奇妙な仲間たち』 あすなろ書房 2006年
Monstrous Regiment* (2003)
A Hat Full of Sky* (2004) 『見習い魔女ティファニーと懲りない仲間たち』 あすなろ書房 2010年
Going Postal* (2004)
Thud!* (2005)
Wintersmith* (2006)
Making Money* (2007)
Nation (2008)
The Unseen Academicals* (2009)
I Shall Wear Midnight* (2011)
Snuff* (2012)

 この他に、ニール・ゲイマンとの共著 Good Omens(『グッド・オーメンズ 上・下』 角川書房 2007年)や、SF作家スティーヴン・バクスターとの共著 The Long Earth (2012) がある。


Priest, Christopher  クリストファー・プリースト 1943.7.14-

 イギリスのSF作家。アダムスは、BBCのテレビ番組『ドクター・フー』の脚本編集者を担当していた時期に、プリーストに番組の脚本執筆を依頼したことがある。
 ちなみに、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のラジオ・ドラマ第一シリーズに対するプリーストの評価は、「他のみんなが思っているほどに、この作品をおもしろいとも独創的だとも思わなかった。私には、ラジオ4の他のコメディ番組のほうがおもしろかったし、SFとしては少しも独創的ではない」。(Hitchhiker, p. 123)
 その正直な感想をアダムス本人にぶつけたかどうかは定かではないが、ともあれプリーストはアダムスの説得に応じて『ドクター・フー』の仕事を引き受けた。
 が、1995年にSFXという雑誌に掲載されたプリーストへのインタビューによると、アダムスからの依頼で脚本を書いたものの、出来上がった頃にはアダムスは脚本編集者の仕事を辞しており、番組の人事編成の激震の影響で、結局プリーストの脚本は製作されないままに終わってしまった。
 後に、プリーストは別の編集者から改めてもう一度『ドクター・フー』の脚本を依頼される。この時も、プリースト自身はきちんと脚本を書き上げ、脚本料も受け取るが、またしても番組内の人事改編のあおりを受け、3人の脚本編集者に自分の脚本をいじくり回されるわ、(プリーストいわく)作家と真剣に仕事をする気がない新しいプロデューサーに振り回されるわで、とうとう彼の忍耐が切れてしまい、こちらもまた幻の企画となる。
 プリーストはマンチェスター生まれ。地元のパブリック・スクールを卒業後、16歳から会計士事務所で働き始め、勤務のかたわらSF小説を執筆する。1966年に短篇小説 "The Run" が雑誌「インパルス」に採用され、その後まもなく9年勤めた会計士事務所を退職した。
 第一長編『伝授者』で注目を集め、1974年に発表した三作目の『逆転世界』で英国SF作家協会賞を受賞、また『イグジステンズ』は、クローネンバーグ監督によって映画化された。現在はSFというジャンルにとどまらず、イギリスの有望な作家の一人として高く評価されている。
 主な著作は以下の通り。

Indoctrinaire (1970) 『伝授者』 サンリオSF文庫 1980年
Fugue for a Darkening Island (1972)
Invented World (1974) 『逆転世界』 サンリオSF文庫 1983年/創元SF文庫 1996年
Real-Time World (1974) 短編集
The Space Machine (1976) 『スペース・マシン』 創元SF文庫 1978年
A Dream of Wessex (1977) 『ドリーム・マシン』 創元SF文庫 1979年
An Infinite Summer (1979) 短編集
The Affirmation (1981)
The Glamour (1984) 『魔法』 早川書房 1995年
The Quiet Woman (1990)
The Prestige (1995)  『奇術師』 早川書房 2004年
The Extremes (1998)
Existenz (1999) 『イグジステンズ』 竹書房文庫 2000年
The Separation (2002) 『双生児』 早川書房 2007年
The Islanders (2011) 『夢幻諸島から』 早川書房 2013年
The Adjacent (2013) 『隣接界』 早川書房 2017年
he Gradual (2016)

 2008年には、日本オリジナルの短編集『限りなき夏』が国書刊行会より出版されている。


Proulx, E. Annie  E・アニー・プルー 1935.8.22-

 アメリカの作家。『銀河ヒッチハイク・ガイド』25周年記念本に関する公式サイトに彼女が寄せたコメント(For a few years towels took on great importance in our house. But we never found the right one.)から察すると、どうやら家族ぐるみで『銀河ヒッチハイク・ガイド』のファンらしい。
 コネチカット州にて五人姉妹の長女として生まれる。父親は繊維工場の副社長、母親は画家だった。ヴァーモント大学、コンコルディア大学、モントリオール大学で歴史を学び、卒業後はフリー・ライターになる。離婚して三人の息子を一人で育てるかたわら主にハウツー本を出版していたが、1988年に初の短編小説集 Heart Songs and Other Stories を、1992年には初の長編小説 Postcards を発表した。第二長編小説『港湾ニュース』は高く評価され、全米図書賞、ピュリッツァー賞など多くの賞を受賞、2001年には映画化された。また、2005年にはClose Range: Wyoming Stories に収録されていた短編「ブロークバック・マウンテン」が映画化され、改めて1冊の本として再出版されている。
 プルーの主な著作は以下の通り。

Heart Songs and Other Stories (1988)
Postcards (1992)
The Shipping News (1993) 『港湾ニュース』 集英社 1996年/『シッピング・ニュース』 集英社文庫 2002年
Accordion Crimes (1996) 『アコーディオンの罪』 集英社 2000年
Close Range: Wyoming Stories (1999) 短編集
That Old Ace in the Hole (2002) 『オールド・エース』 集英社 2004年
Bad Dirt: Wyoming Stories 2 (2004) 短編集
Brokeback Mountain (2005) 『ブロークバック・マウンテン』 集英社文庫 2006年
Fine Just the Way It Is: Wyoming Stories 3 (2008) 短編集
Bark-Skins (2016)


Pryce, Jonathan  ジョナサン・プライス 1947.6.1-

 イギリスの俳優。ラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』第12話で、ザーニウープと自動操縦装置の2役を演じた。また、2005年5月から始まる第4・5シリーズにも出演する予定。
 が、もともとプライスに予定されていたのは宇宙の支配者役だった。彼がスタジオにやってきた時点で、アダムスがまだこの役の脚本を書き上げていなかったため、別の役を演じることを快く承諾してくれたらしい。(Original Radio Script, p. 247)
 北ウェールズ・ホリーウェル生まれ。大学で美術を学んだ後、奨学金を得て王立演劇学校(RADA)に進む。卒業後はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台に立つ一方、1977年にはブロードウェイに進出、『コメディアン』でトニー賞を受賞した。1991年にはミュージカル『ミス・サイゴン』(ロンドンでの初演は1989年)で2度目のトニー賞を受賞している。また、1976年の映画『さすらいの航海』でスクリーンデビューし、『キャリントン』(1995年)ではカンヌ映画祭主演男優賞を受賞した。ジェフリー・パーキンスいわく、「イギリスでも屈指の俳優」。(同、p. 247)
 プライスの主な出演映画は以下の通り。

Voyage of the Damned (1976) 『さすらいの航海』
Breaking Glass (1980) 『ブレイキング・グラス』
Something Wicked This Way Comes (1983)  『何かが道をやってくる』
Brazil (1985)  『未来世紀ブラジル』
The Doctor and the Devils (1985) 『贖われた7ポンドの死体』
Haunted Honeymoon (1986) 『呪われたハネムーン』
Jumpin' Jack Flash (1986) 『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』
Man on Fire (1987)
The Adventures of Baron Munchausen (1988)  『バロン』
The Rachel Papers (1989) 『レイチェル・ペーパー』
Glengarry Glen Ross (1992)  『摩天楼を夢みて』
The Age of Innocence (1993) 『エイジ・オブ・イノセンス』
A Business Affair (1994)  『恋の選択』
Shopping (1994) 『ショッピング』
Carrington (1995)  『キャリントン』
Evita (1996) 『エビータ』
Tomorrow Never Dies (1997) 『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』
Ronin (1998) 『RONIN』
Stigmata (1999)  『スティグマータ/聖痕』
Very Annie Mary (2001)  『ベリー・アニー・メアリー』
The Affair of the Necklace (2001) 『マリー・アントワネットの首飾り』
What a Girl Wants (2003)  『ロイヤル・セブンティーン』
Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl (2003)  『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』
De-Lovely (2004)  『五線譜のラブレター DE-LOVELY』
Brothers Grimm (2005) 『ブラザーズ・グリム』
Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest (2006)  『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
The New World (2005)  『ニュー・ワールド』
The Moon and the Stars (2007)
Pirates of the Caribbean: At World's End (2007)  『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
Leatherheads (2008) 『かけひきは、恋のはじまり』
Bedtime Stories (2008) 『ベッドタイム・ストーリー』
G.I. Joe: The Rise of Cobra (2009) 『G.I.ジョー』
Echelon Conspiracy (2009) 『エネミーオブUSA』
Hysteria (2011) 『ヒステリア』
Dark Blood (2012) 『ダーク・ブラッド』
G.I. Joe: Retaliation (2013) 『バック2リベンジ』
The Salvation (2014) 『悪党に粛正を』
Woman in Gold (2015) 『黄金のアデーレ 名画の帰還』
Narcopolis (2015) 『エンド・オブ・ザ・フューチャー』
The Man Who Invented Christmas (2017) 『Merry Christmas!ロンドンに奇跡を起こした男』
The Wife (2018) 『天才作家の妻 40年目の真実』


Purchase, Bruce  ブルース・パーチェイス 1938.10.2-

 イギリスの俳優。1978年、アダムスが脚本を書いた『ドクター・フー』'The Pirate Planet' にキャプテン役で出演した。2007年に発売された 'The Pirate Planet' のDVDでは、オーディオコメンタリーに参加し、特典映像 'Parrot Fashion' にも出演している。
 ニュージーランド生まれ。これまでに数多くのテレビ・ドラマに出演しているが、'Parrot Fashion' での本人のコメントによると、今でも'The Pirate Planet' のキャプテンとして街で声をかけられることがあるらしい(The Internet Movie Database のトリビアにも、"Best known for his role as "The Captain" in the Dr. Who episode "The Pirate Planet" in 1978." と書かれていた)。日本でも公開されている彼の出演作には、映画『リチャード三世』(1995年)がある。

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