The Big Read

 2003年にイギリスの公共放送BBCが行った愛読書アンケートで、『銀河ヒッチハイク・ガイド』が第4位に選出された。
 「The Big Read」と名付けられたこのアンケート、単にテレビで投票を呼びかけただけではない。4月に行った事前投票(約14万票)でまずベスト100を選出し、その中の上位21作品についてそれぞれの作品にふさわしいリポーターが選ばれ30分のヴィデオ・クリップを作成、3本まとめて1時間半の番組にし、BBC2で土曜日の午後9時から数週間(10月18日〜12月13日)に亘って放映し、それから再投票を行って最終的な順位づけを決定する、という実に念の入った一大キャンペーンだった(この順位づけと並行して、もう一つ別の「対決」プログラム、「The BBC Big Read Battle of Books」も行われていたが、詳細についてはこちらへ)。
 『銀河ヒッチハイク・ガイド』のヴィデオ・クリップは、11月8日に『アラバマ物語』と『風と共に去りぬ』の間にはさまれて放映された。『銀河ヒッチハイク・ガイド』で、紹介役を務めたのは、サンジーヴ・バスカーというインド系イギリス人のコメディ・ライター兼パフォーマー。そのヴィデオ・クリップの中の再現ドラマでは、バスカーはアーサー・デント役もこなしている。その他のキャスティングは、

ガイド:パトリック・ムーア
フォード:スペンサー・ブラウン
マーヴィン:ナイジェル・プレイナー
スラーティバートファースト: ロジャー・ロイド=パック
ディープ・ソート:スティーヴン・ホーキング
ランクウィル/ルーンクウォル:アダム・バクストン
フーク/ファウク:ジョー・コーニッシュ

 最終的に決定したベスト21は以下の通り。

1. The Lord of the Rings, JRR Tolkien
  『指輪物語』 J・R・R・トールキン
2. Pride and Prejudice, Jane Austen
  『高慢と偏見』 ジェーン・オースティン
3. His Dark Materials, Philip Pullman
  ライラの冒険シリーズ『黄金の羅針盤』『神秘の短剣』『琥珀の望遠鏡』 フィリップ・プルマン
4. The Hitchhiker's Guide to the Galaxy, Douglas Adams
  『銀河ヒッチハイク・ガイド』 ダグラス・アダムス
5. Harry Potter and the Goblet of Fire, JK Rowling
  『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 J・K・ローリング
6. To Kill a Mockingbird, Harper Lee
  『アラバマ物語』 ハーパー・リー
7. Winnie the Pooh, AA Milne
  『クマのプーさん』 A・A・ミルン
8. Nineteen Eighty-Four, George Orwell
  『1984年』 ジョージ・オーウェル
9. The Lion, the Witch and the Wardrobe, CS Lewis
  『ライオンと魔女』 C・S・ルイス
10. Jane Eyre, Charlotte Bronte
  『ジェーン・エア』 シャーロット・ブロンテ
11. Catch-22, Joseph Heller
  『キャッチ22』 ジョーゼフ・ヘラー
12. Wuthering Heights, Emily Bronte
  『嵐が丘』 エミリー・ブロンテ
13. Birdsong, Sebastian Faulks
  『よみがえる鳥の歌』 セバスティアン・フォークス
14. Rebecca, Daphne du Maurier
  『レベッカ』 ダフネ・デュ・モーリア
15. The Catcher in the Rye, JD Salinger
  『ライ麦畑でつかまえて』 J・D・サリンジャー
16. The Wind in the Willows, Kenneth Grahame
  『たのしい川べ』 ケネス・グレアム
17. Great Expectations, Charles Dickens
  『大いなる遺産』 チャールス・ディケンズ
18. Little Women, Louisa May Alcott
  『若草物語』 ルイザ・メイ・オルコット
19. Captain Corelli's Mandolin, Louis de Bernieres
  『コレリ大尉のマンドリン』 ルイ・ド・ベルニエール
20. War and Peace, Leo Tolstoy
  『戦争と平和』 レフ・トルストイ
21. Gone with the Wind, Margaret Mitchell
  『風と共に去りぬ』 マーガレット・ミッチェル

 なお、『本の雑誌』2004年2月号にこのキャンペーンの詳細が紹介されているので、興味のある方はご一読を。

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