関連人物一覧 -H-

Harkaway, Nick ニック・ハーカウェイ
Harker, Susannah スザンナ・ハーカー
Hartnell, William ウィリアム・ハートネル
Hawking, Stephen スティーヴン・ホーキング
Hess, Nigel ナイジェル・ヘス
Highfield, Roger ロジャー・ハイフィールド
Horgan, John ジョン・ホーガン
Horne, Marilyn マリリン・ホーン


Harkaway, Nick  ニック・ハーカウェイ 1972-

  イギリスのSF作家。2014年9月25日に William Heinemann から出版された The Hitch Hiker's Guide to the Galaxy: Nearly Definitive Edition に、リチャード・ドーキンスと並んで序文を寄せた。
 コーンウォール生まれ。ケンブリッジ大学で社会政治学(Social and Political Sciences)を専攻、卒業後は映画の脚本家を目指していたが小説家に転向し、2008年に最初の長編小説『世界が終わってしまった後の世界で』を出版する。2012年には2作目となる『エンジェルメイカー』を発表し、その後も小説家として順調にキャリアを重ねている。父親は、スパイ小説の大家であるジョン・ル・カレ。
 ハーカウェイの主な著作は以下の通り。

The Gone-Away World (2008) 『世界が終わってしまった後の世界で』
Angelmaker (2012) 『エンジェルメイカー』
The Blind Giant: How to Survive in the Digital Age (2013) ノンフィクション
Tigerman (2014)
Gnomon (2017)


Harker, Susannah  スザンナ・ハーカー 1965.4.26-

 イギリスの女優。アダムスが書いた『ドクター・フー』の幻のエピソード、'Shada' が2002年にオーディオ・ドラマ化されることになった時に、声優としてクレア役を務めた。監督のニコラス・ペグいわく、クレア役は『銀河ヒッチハイク・ガイド』におけるトリリアン同様、どうにも印象の薄い役柄だっただけに、逆に役に力強さを与えることのできる女優に演じてもらいたかったのだとか。
 ロンドン生まれ。テレビ・ドラマを中心に活躍しており、中でも1995年製作のBBCのテレビ・ドラマ、『高慢と偏見』のジェーン・ベネット役で有名。『サバイビング・ピカソ』(1996年)、『インティマシー/親密』(2000年)といった映画にも出演している。


Hartnell, William  ウィリアム・ハートネル 1908.1.8-1975.4.23

 イギリスの俳優。1963年から1966年にかけて、テレビ・ドラマ『ドクター・フー』の初代ドクターを務めた。アダムスは、1999年にラジオ番組のインタビューで「一番好きなドクターは?」と訊かれ、実際に一緒に働いていたトム・ベイカーと並んで、ハートネルの名前を挙げている。
 ハートネルは、ロンドン生まれ。劇団の裏方として働くうち、次第に役者として舞台に上がるようになり、イギリス各地やカナダでの公演ツアーにも回った。いくつものテレビ・ドラマや映画で主演を務めたが、それでもやはりやはり多くの人の記憶に残っているのは初代ドクターとしての姿のようだ。
 なお、1996年にはハートネルの孫で女優の Jessica Carney が、彼の伝記 Who's There? : The Life and Career of William Hartnell を出版している。
 ハートネルの主な出演映画は以下の通り。

Murder in Reverse (1945) 『よみがえった殺人』
Yangtse Incident: The Story of H.M.S. Amethyst (1957) 『揚子江死の脱出』
The Mouse That Roared (1959) 『ピーター・セラーズのマ☆ウ☆ス』
Heavens Above! (1963) 『ヘブンズ・アバーブ』
This Sporting Life (1963) 『孤独の報酬』


Hawking, Stephen  スティーヴン・ホーキング 1942.1.8-

 イギリスの理論物理学者。ケンブリッジ大学の大学院に在学していた頃に発症した脳萎縮性側索硬化症のため、車椅子生活を余儀なくされている。著書がベストセラーになったことで、日本での知名度も高い。現在ケンブリッジ大学教授。
 そのホーキング博士は、実はSFが好きで、『銀河ヒッチハイク・ガイド』のファンでもあるらしい。その証拠(?)に、2003年にイギリスのBBCが行った愛読書アンケート、The Big Read で『銀河ヒッチハイク・ガイド』のヴィデオ・クリップが作成された際には、自らディープ・ソートの声を担当して、番組のホスト役でありキャスティングにもかかわっていたサンジーヴ・バスカーをいたく感激させたとか。
 また、2010年に出版された最新作『ホーキング、宇宙と人間を語る』では、この本の内容を紹介するにあたって直接的に『銀河ヒッチハイク・ガイド』を引用している。

 なぜ、この宇宙は存在しているのでしょうか? どうして無ではないのでしょうか?
 なぜ、私たちは存在しているのでしょうか?
 なぜ、自然世界の法則は今あるようになっているのでしょうか? どうして、ほかの法則ではないのでしょうか?
 
 これは、生命、宇宙、万物についての究極の問いかけです。
 本書では、この究極の問いかけに答えようと試みるつもりです。

 ダグラス・アダムスのSF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』では、この「生命、宇宙と万物についての究極の答え」を計算するためにスーパーコンピュータが作られました。しかし計算の結果、なぜか単なる数字「42」という答えが出されました。この本での答えは、まったく意味不明の数字「42」になることはないでしょう!(pp. 17-18)

  この引用箇所だけを読むと、何だかホーキングはアダムスのジョークの意味をまるで分かっていないような気がするが、そんなことはあるまい。
 ホーキングの主な著作は以下の通り。

A Brief History of Time (1988) 『ホーキング、宇宙を語る−ビッグバンからブラックホールまで』 早川書房 1989年
Stephen Hawking's a Brief History of Time (1992) 『「ホーキング、宇宙を語る」ガイドブック』 早川書房 1992年
The Nature of Space and Time (1996) 『ホーキングとペンローズが語る時空の本質−ブラックホールから量子宇宙論へ』 早川書房 1997年  ロジャー・ペンローズとの共著
The Universe in a Nutshell (2001) 『ホーキング、未来を語る』 アーティストハウス 2001年
A Briefer History of Time (2005) 『ホーキング、宇宙のすべてを語る』 ランダムハウス講談社 2005年 レナード・ムロディナウとの共著
George's Secret Key to the Universe (2007) 『宇宙への秘密の鍵』 岩崎書店 2008年 ルーシー・ホーキングとの共著
George's Cosmic Treasure Hunt (2009) 『宇宙に秘められた謎』 岩崎書店 2009年 ルーシー・ホーキングとの共著
The Grand Design (2010) 『ホーキング、宇宙と人間を語る』 エクスナレッジ 2011年 レナード・ムロディナウとの共著
George and the Big Bang (2011) 『宇宙の誕生・ビッグバンへの旅』 岩崎書店 2011年 ルーシー・ホーキングとの共著


Hess, Nigel  ナイジェル・ヘス 1953-

 イギリスの作曲家・指揮者。ケンブリッジ大学在学中はフットライツで音楽監督を務め、同時期に在学していたアダムスとはフットライツの活動を通じての知り合いだった。1973年2月8日に開催されたフットライツのスモーカーで、アダムスが自作の曲を披露するのを聴いた時のことを振り返って、ヘスは「アダムスは音楽よりも作詞のほうを重視していた」と語っている(Hitchhiker, p. 36)。アダムスが出演するスケッチに、ヘスが音楽を提供したこともあった。
 大学を卒業後、なかなか仕事が見つからなかったヘスは、同じような状況に陥っていたフットライツ出身仲間たちと、ロンドン・キルバーンの Fordwych Road にある広いフラットで同居していたことがあり、アダムスもその一人だった。幸い、後にはアダムスもヘスもそれぞれの道で成功を掴んだ訳だが、1978年12月25日にBBCラジオ4で放送された、アダムスとジョン・ロイド製作のクリスマス特別番組「ブラック・シンデレラ2」の音楽は、ヘスが担当している。
 ヘスはこれまでに数多くの舞台やテレビの音楽を手掛けているが、日本で一番よく知られているのは映画『ラヴェンダーの咲く庭で』のサウンドトラックだろうか。映画の中でヴァイオリニストのジョシュア・ベルがソロを演奏した「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー」は、フィギュア・スケーターの浅田真央が使用したこともある。


Highfield, Roger  ロジャー・ハイフィールド 1958-

 イギリスの科学ジャーナリスト。サイモン・シンと共に、2014年3月11日に開催される第12回ダグラス・アダムス記念講演の講演者に選ばれた。講演のテーマは「ハリー・ポッターの科学(The Science of Harry Potter)」。
 ウェールズで生まれ、北部ロンドンで育つ。オックスフォード大学で化学を専攻し、約20年間、「デイリー・テレグラフ」紙のサイエンス・エディターを務めた。さまざまな雑誌や新聞に寄稿するかたわら、2008年から2011年にかけて「ニュー・サイエンティスト」誌の編集にも携わっている。現在は、イギリスの科学博物館グループの広報担当(External Affairs Director)としての顔も持つ。
 主な著作は以下の通り。

The Arrow of Time: The Quest to Solve Science's Greatest Mystery: The Quest to Solve Science's Greatest Mysteries (1990) 『時間の矢、生命の矢』 ピーター・コヴニーとの共著
The Private Lives of Albert Einstein (1994) 『裸のアインシュタインー女も宇宙も愛しぬいた男の大爆発(ビッグパン)』 ポール・カーターとの共著
The Science of Harry Potter: How Magic Really Works (2002) 『ハリー・ポッターの科学 空飛ぶほうきは作れるか?』


Horgan, John  ジョン・ホーガン 1953-

 アメリカのフリーライター。コロンビア大学で英文学を学んだ後、同大学院でジャーナリズムを専攻する。1986年から1997年まで『サイエンティフィック・アメリカン』誌(日本版は『日経サイエンス』)のシニアライターを務めるかたわら、『ニューヨーク・タイムズ』や『ニュースウィーク』など、さまざまな新聞・雑誌に科学に関する記事を提供した。
 1996年に発表された彼の最初の著作『科学の終焉』は、雑誌記者として最先端の科学者たちをインタビューした結果を、ホーガン流にまとめたものである。科学がすべての謎を解決する日は来るのだろうか? そのような最終理論がもし見つかったとすれば、それは科学の終わりを意味するのか? だとしたら、真理の追求者たる科学者は、今度は何を目的とすればいいのだろう? これらの疑問に対して、「客観性をよそおうジャーナリストの仮面を脱ぎ捨て、公然と批判し、議論し、個人的な見解に充ちみちた本を書く決意を固めた」(p. 18)。
 この本でホーガンが槍玉にあげるのは、宇宙論や物理学のみならず哲学や社会科学の分野にも及ぶ。勿論、進化生物学も例外ではなく、リチャード・ドーキンスについてのホーガンの描写など、ドーキンス嫌いの人が読めば溜飲を下げること間違いない。
 が、その一方で、この本には『銀河ヒッチハイク・ガイド』からの引用もある。「物理学の終焉」と題された章の中で、素粒子物理学者のスティーブン・ワインバーグの著作『最終理論の夢』について、

「宇宙が解ってくればくるほど、それはまた、意味のないものに思われてくる」と。この言葉が「ずっと彼の頭から離れなかった」が、ワインバーグは後ずさりすることはしなかった。それどころか、彼はこの言葉に磨きをかけた。「私たちが基本的な物理学の諸原理を、より多く、次々と発見していくにつれて、それらの原理はますます私たちと関係が少ないものになっていくように思われる」。ワインバーグは、私たちがなぜ? と問うすべてのものは、帰するところ、一つの理由に収まるだろうと考えているようだった。ワインバーグのこうした最終理論についてのビジョンは、ダグラス・アダムスの『銀河へのヒッチハイク案内』(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)を思い起こさせた。1980年に出版されたこのSFの喜劇では、科学者たちはついに宇宙の謎に対する答えを発見したのだ。そして、その答えは……42だった(アダムスは、公然と文学的流儀で科学哲学を実践していたのだ)。(p. 114)

 ホーガンは、アダムスとドーキンスの個人的親交については、まったく知らなかったのだろうか。それとも知っていたけれどそんなことは歯牙にもかけなかっただけなのか。
 なお、確かにアメリカでの小説版『銀河ヒッチハイク・ガイド』の出版は1980年だったが、こういう時は1979年と書いてもらいたいものだ、というのが私の「個人的見解」である。
 ホーガンの主な著作は以下の通り。

The End of Science: Facing the Limits of Science in the Twilight of the Scientific Age (1996) 『科学の終焉』 徳間書店 1997年
The Undiscovered Mind: How the Human Brain Defies Replication, Medication, and Explanation (1999) 『続・科学の終焉−未知なる心』 徳間書店 2000年
Rational Mysticism: Dispatches from the Border Between Science and Spirituality (2003) 『科学を捨て、神秘へと向かう理性』 徳間書店 2004年


Horne, Marilyn  マリリン・ホーン 1934.1.16-

 アメリカ・ペンシルヴァニア州出身のメゾソプラノ歌手。小説 Dirk Gently's Holistic Detective Agency で、マイケル・ウェントン=ウィルクスが自身の雑誌 Fathom に彼女に関する記事を書いていたが、編集長の座を追われた途端にボツになってしまった(ジョーン・サザーランド参照)。

関連人物一覧リストに戻る

Topに戻る