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更新履歴・裏ヴァージョン


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能書き 何でこんなページを追加することになったのかについての言い訳

2025年

2025.2.1. 我が家に猫がやってきた


能書き

 自分のホームページを初めて世界に向けて公開したのが2001年2月12日、それからほぼ毎週土曜日ごとに地道に更新を続けてきたけれど、その過程で実はひそかにストレスが溜まっていた。
 表向き、私のホームページの内容は、ダグラス・アダムスとユーリ・ノルシュテインとアントニオ・ガデスの3人についての紹介で、そこには当然私の主観が色濃く反映されてはいるものの、一応ある程度の客観的な情報を記載するに留めている。その気になれば、誰でも調べられることではあるがそこまで調べようとは思わないだろうこと、たとえばアルメイダ劇場のこととか、または個別には知っていたとしても関連を意味づけようとはしないだろうこと、たとえばダグラス・アダムスとリチャード・ドーキンスの関係とか、そういう類の事柄だ。
 だが、そうやって細々とした事どもを追いかけているうち、してやったりの体験や思いがけない幸運に出くわすことがある。だがそれらはあくまで私個人に属することなので、当然これまでホームページの中には一切盛り込まなかった。
 たとえば、ロード・クリケット場。私は、ロード・クリケット場に入ったことがある。それも、一観客としてクリケットの試合を見たのではない。大体、私が訪れた日は試合をしてすらいなかった。では、会員でもなければ入れないはずのクリケット場に、どうしてクリケットのルールもロクに知らない私が試合のチケットもなしに入れてもらえたのかと言うと、その時私と一緒にロンドンを旅行していた友達の叔母さまがイギリス人と結婚してロンドンに住んでおられて、その結婚相手のイギリス人紳士がイギリス人紳士にふさわしくクリケットのファンで、ロード・クリケット場の会員だったのだ。そして、私の(かなり歪んだ理由でではあるが)ロード・クリケット場に対する思い入れを知ると、快く案内役を引き受けてくださった。
 何年か前の3月。その年は常にない暖冬で、3月とは言えセーター一枚で汗ばむ程の陽気だった。叔母さまの自宅はリージェンツ・パークの東側で、そこからリージェンツ・パークを横切ってロード・クリケット場に歩いて行くことになった。私と友達とイギリス人の叔父さまの3人で、相当に怪しい英語で話しながら、柔らかい緑に染まった公園を散歩したこと、途中公園内にある休憩所で紅茶とお菓子をごちそうになったこと、友達はその時つましくスコーンを一つ手に取ったのに、私はやたらデカくて派手なフルーツタルトを食べたこと、いざクリケット場の前にたどりついて、施錠された門の前に立てただけでも感無量だったのに、叔父さまが中の人に話しかけて鍵を開けてくれるようお願いしてくださったこと、さすがにグラウンドの芝生の中には入れなかったがすぐそばまで行けたこと、私の全く知らないクリケットの名選手の写真が貼られたグラウンドの売店で、シンボルマーク入りのグッズやポスターを買えたこと、それらの記憶は褪せることなく今も鮮明に残っている。
 おととしの初夏、叔父さまは早世された。さすがに私は行けなかったが、友達は直ちにイギリスに飛び、デヴォン州で行われた葬儀に間に合うことができた。その時、「クリケットに興味がある珍しい日本人」ということで、私の話も出たらしい。帰国した友達は、普段叔父さまが愛用されていたというロード・クリケット場のマグカップを、形見の品として私にくれた。マグカップには、ENGLAND V AUSTRALIA ASHES SERIES LORD'S 1993 という文字と、クリケットのバットを持った獅子(イギリス)とカンガルー(オーストラリア)のイラストが書かれている。
 と、書き始めるときりがないが、それらはあくまで個人レベルの話である。故に、「ロード・クリケット場」の項目に載せるべきではないと考え、実際に書いたのは名称や最寄り駅や歴史についてのとびきり客観的な情報だけに絞った。絞ったものの、欲求不満は残った。
 という次第で、「更新履歴・裏ヴァージョン」新設と相成った。こちらには、表の側には載せられない個人的な感想や思い出やその他もろもろについて、週間日記のような感覚で気の向くままに書いていくつもりでいる。
 よろしければ、お付き合いください。

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2025.2.1.  我が家に猫がやってきた

 今年も、今さらながら明けましておめでとうございます。

 突然ですが、2025年1月某日、一人暮らしの我が家に猫がやってまいりました。弟夫婦の友人夫婦が、野良猫を地域猫にするべく捕獲し、動物病院に連れて行って去勢手術と健康診断を受けさせたところ、猫エイズウイルスに感染していることが判明し、野に放てなくなった(かと言って自宅には猫エイズウイルスに感染していない先住保護猫がいるため、自分たちで引き取って飼うのは難しい)、ということで、回り回って私のところで暮らすことになった次第。
 とは言え、私はこれまでの人生で猫も犬も飼ったことがない。今回、思いがけない経緯で猫を引き受けることにしたものの、いかんせん右も左もわからない猫飼いの素人である。経緯が経緯だけに、元の保護主さんとLINEでやり取りさせてもらい(これまでLINEのアカウントを作ることは頑なに拒否してきたが、こうなったら仕方ない)、次から次へと湧き起こる不安や疑問に逐一対応してもらってはいるが、あれやらこれやら心配で心配で仕方がない。
 ……そんな話をこんなところに書いて一体何が言いたいのかというと、2ヶ月も冬休み期間があったにもかかわらず、そんなこんなであまりこのホームページ更新準備に傾注できなかった、その言い訳である。いやあ、猫がうちにやってきたらしばらくは私も猫のケアに専念してどこにも出かけないつもりだったから、自宅でホームページ更新作業をする時間だけはたっぷりある、と目論んでいた私が愚かだった。確かに自宅滞在時間は長くなったが、猫が何かをやったのやらなかったのといちいちハラハラドキドキし、思考の9割が猫に占められてしまって他のことはすっかり手つかず――いやはや我ながらこんなことになろうとは思わなかった。
 来月の更新日までには、猫との暮らしもさすがに落ち着いている、はず。今月こそは気を取り直して頑張りたいと思います。

 とは言え、当たり前だが最低限の更新準備はした。新年最初に更新している「My Profile」コーナー(2024年のベスト小説についてはクレア・キーガン著『ほんのささやかなこと』との二択で迷ったけれど、個人的に私のツボにささりまくったのでこちらに決めた)の他に、M・J・シンプソンによる映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』の激辛映画評も追加。ただし、この激辛映画評は全4パートの長文で構成されているので、今回はそのうちの最初のパートだけを訳出した。


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