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更新履歴・裏ヴァージョン


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目次
能書き 何でこんなページを追加することになったのかについての言い訳

2017年

2017.2.4. 「私立探偵ダーク・ジェントリー」
2017.3.4. テレビドラマとコミックスがコラボ
2017.4.1. 映画『SING』
2017.5.6. めでたいニュースとめでたくないニュース
2017.6.3. ブルーレイになったノルシュテイン作品集
2017.7.1. エド・ヴィクターの訃報
2017.9.9. 追悼/ブライアン・W・オースディス


能書き

 自分のホームページを初めて世界に向けて公開したのが2001年2月12日、それからほぼ毎週土曜日ごとに地道に更新を続けてきたけれど、その過程で実はひそかにストレスが溜まっていた。
 表向き、私のホームページの内容は、ダグラス・アダムスとユーリ・ノルシュテインとアントニオ・ガデスの3人についての紹介で、そこには当然私の主観が色濃く反映されてはいるものの、一応ある程度の客観的な情報を記載するに留めている。その気になれば、誰でも調べられることではあるがそこまで調べようとは思わないだろうこと、たとえばアルメイダ劇場のこととか、または個別には知っていたとしても関連を意味づけようとはしないだろうこと、たとえばダグラス・アダムスとリチャード・ドーキンスの関係とか、そういう類の事柄だ。
 だが、そうやって細々とした事どもを追いかけているうち、してやったりの体験や思いがけない幸運に出くわすことがある。だがそれらはあくまで私個人に属することなので、当然これまでホームページの中には一切盛り込まなかった。
 たとえば、ロード・クリケット場。私は、ロード・クリケット場に入ったことがある。それも、一観客としてクリケットの試合を見たのではない。大体、私が訪れた日は試合をしてすらいなかった。では、会員でもなければ入れないはずのクリケット場に、どうしてクリケットのルールもロクに知らない私が試合のチケットもなしに入れてもらえたのかと言うと、その時私と一緒にロンドンを旅行していた友達の叔母さまがイギリス人と結婚してロンドンに住んでおられて、その結婚相手のイギリス人紳士がイギリス人紳士にふさわしくクリケットのファンで、ロード・クリケット場の会員だったのだ。そして、私の(かなり歪んだ理由でではあるが)ロード・クリケット場に対する思い入れを知ると、快く案内役を引き受けてくださった。
 何年か前の3月。その年は常にない暖冬で、3月とは言えセーター一枚で汗ばむ程の陽気だった。叔母さまの自宅はリージェンツ・パークの東側で、そこからリージェンツ・パークを横切ってロード・クリケット場に歩いて行くことになった。私と友達とイギリス人の叔父さまの3人で、相当に怪しい英語で話しながら、柔らかい緑に染まった公園を散歩したこと、途中公園内にある休憩所で紅茶とお菓子をごちそうになったこと、友達はその時つましくスコーンを一つ手に取ったのに、私はやたらデカくて派手なフルーツタルトを食べたこと、いざクリケット場の前にたどりついて、施錠された門の前に立てただけでも感無量だったのに、叔父さまが中の人に話しかけて鍵を開けてくれるようお願いしてくださったこと、さすがにグラウンドの芝生の中には入れなかったがすぐそばまで行けたこと、私の全く知らないクリケットの名選手の写真が貼られたグラウンドの売店で、シンボルマーク入りのグッズやポスターを買えたこと、それらの記憶は褪せることなく今も鮮明に残っている。
 おととしの初夏、叔父さまは早世された。さすがに私は行けなかったが、友達は直ちにイギリスに飛び、デヴォン州で行われた葬儀に間に合うことができた。その時、「クリケットに興味がある珍しい日本人」ということで、私の話も出たらしい。帰国した友達は、普段叔父さまが愛用されていたというロード・クリケット場のマグカップを、形見の品として私にくれた。マグカップには、ENGLAND V AUSTRALIA ASHES SERIES LORD'S 1993 という文字と、クリケットのバットを持った獅子(イギリス)とカンガルー(オーストラリア)のイラストが書かれている。
 と、書き始めるときりがないが、それらはあくまで個人レベルの話である。故に、「ロード・クリケット場」の項目に載せるべきではないと考え、実際に書いたのは名称や最寄り駅や歴史についてのとびきり客観的な情報だけに絞った。絞ったものの、欲求不満は残った。
 という次第で、「更新履歴・裏ヴァージョン」新設と相成った。こちらには、表の側には載せられない個人的な感想や思い出やその他もろもろについて、週間日記のような感覚で気の向くままに書いていくつもりでいる。
 よろしければ、お付き合いください。

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2017.2.4.  「私立探偵ダーク・ジェントリー」

 前回の同コーナーで書いた通り、BBCアメリカ製作のテレビドラマ版 Dirk Gently's Holistic Detective Agency は、昨年の12月11日から日本のNetflixでも「私立探偵ダーク・ジェントリー」の邦題で全8話が視聴可能になった。
 当然ながら私はこの日の朝からNetflixに新規登録し、できれば全8話を一気に観るぞと意気込んでいたが、実際に「私立探偵ダーク・ジェントリー」が日本のNetflixにアップされたのは夕方以降の時間だった(苦笑)。ま、考えてみればそりゃそうだよな、日本時間の2016年12月11日の午前0時に公開だったら、BBCアメリカで最終回が放送されるより早く全話観られることになってしまうもの。
 ともあれ、この日は第1話だけをとりいそぎ観たところ、「巻き込まれ役のイライジャ・ウッドはいい感じに巻き込まれているけど、黄色いジャケット姿のダーク・ジェントリーはいくら何でもヘンテコすぎないか?」「お金がかかっている/予算があるのは分かるけど、いくら何でも暴力過剰じゃないか?」と、正直首をかしげることも多かった。もっと正直に言えば、もしこのドラマがダグラス・アダムスと何の関係もなかったら、私は多分この第1話だけを観た時点で「私の趣味じゃない」と切り捨てていたと思う。
 そうは言っても実際には「ダグラス・アダムス原作」である以上、ばっさり切り捨てる訳にもいかず、血腥さに辟易しながらも何日かかけて最終話まで見届けたところ、あら不思議、すべてのものは見事に繋がっていたし、何より最初のうちはあんなに苛立たしかったサミュエル・バーネット扮するダークも最後にはすっかりいじらしく思えてきたではないか。
 勿論、言いたい文句はある。話を膨らませるためとは言え殺戮シーンが多すぎやしないかと思うし、超常現象っぽい設定についてもどうなのとも思う。何より、原作小説のファンとしては、2010年からBBCで製作されたヴァージョンのほうが原作のテイストをはるかに強く反映していたとも思う。それでも、Netflix経由で日本でも「ダーク・ジェントリー」の知名度が広がればありがたいし、それより何より、原作小説の日本語訳が今年ついに出るらしいという信じられないほど幸せな噂もツイッター経由で耳にした。もし、本当に実現すれば、原作小説の発売から丸30年経っての快挙である。
 昨年同様、今年もまだまだダーク・ジェントリーのブームは続きそうだ。
 
 今回の更新は、言うまでもなくテレビドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」について。主役のサミュエル・バーネットイライジャ・ウッドの二人も、関連人物一覧に追加した。
 思えば2012年12月、私は映画『ホビット 思いがけない冒険』ジャパン・プレミアで、マーティン・フリーマンイライジャ・ウッドの二人を同時に目撃したんだっけ。私がこの種のレッドカーペット・イベントに参加できたのは後にも先にも『ホビット 思いがけない冒険』のみ、ということを考えれば、やはり私はとてつもなく運がいい。
 
 それから、例年通り「My Profile」コーナーに「2016年のマイベスト」も追加したので、こちらもよろしく。

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2017.3.4.  テレビドラマとコミックスがコラボ

 今回も引き続き、『ダーク・ジェントリー』の話。
 2015年から出版が始まったコミックス版については、既に完結したシリーズ2作を購入して紹介し、現在刊行中の3作目は全1巻本が5月に発売されたら購入して紹介しようと思っている。なので、それまでは特に追加更新することもないと思っていたのだが、いつの間にやらコレクターなら見過ごせない1冊が出版されていた。
 テレビドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」放送記念(?)として作られた、シリーズ2作を全1巻にまとめた1冊。テレビドラマで主演したサミュエル・バーネットイライジャ・ウッドの写真とコミックス版ダーク・ジェントリーのイラストを合成した表紙のデザインに加え、冒頭にはサミュエル・バーネットによるイントロダクション、巻末にはドラマの撮影風景の写真数枚が掲載されている。おまけに、写真のうちの1枚は、撮影当時の「タオル・デー」の様子を映したものときた日には、くうう、私としては買うしかないじゃないか。
 そして、せっかく買ったからにはこのホームページで紹介して少しでも元を取るしかない、ということで、今回の更新ではサミュエル・バーネットのイントロダクションを追加することにした。
 このイントロダクションによると、バーネットは「ダーク・ジェントリー」の名前に聞き覚えはあったけれど、ダーク役のオーディションが決まるまでアダムスが書いた原作小説を読んだこともBBCのテレビドラマも観たことがなかったらしい。でも、周りの人にオーディションのことを話したら、みんなとっくに読んだり観たりしていて、作品への愛を熱く語ってくれたのだとか。
 その辺りの事情は、映画版『銀河ヒッチハイク・ガイド』でアーサー・デント役を射止めた時のマーティン・フリーマンと似ているかも? 俳優として、原作のファンだからこの役だけは絶対にやりたい、ということもよくあるだろうけど、個人的な思い入れがあまりない作品のほうがスムーズに仕事ができる、ということもあるだろうなあ。
 
 一方、「ダーク・ジェントリー」に個人的な思い入れはたっぷりあったであろう脚本家のマックス・ランディスについては、日本では劇場未公開扱いとなってしまった映画『ヴィクター・フランケンシュタイン』(2015年)が先月WOWOWで放送されたので嬉々として観た。主演はジェームズ・マカヴォイとダニエル・ラドクリフ、監督のポール・マクギガンはテレビドラマ「Sherlock」第1シリーズと第2シリーズのうち計4話を手掛けた人で、その縁か、アンドリュー・スコットやマーク・ゲイティスやルイーズ・ブレーリーといった「Sherlock」組の面々も(いい感じで)出演している。
 劇場未公開になるほどひどい出来とは思わなかったが、脚本に関してはメアリー・シェリーの原作小説から大きく逸脱している――というか、原作を読んで個人的に気に入ったポイントのみを取り出し、後は自分の好きな要素を混ぜ込んで独自に膨らませて書いた、といったほうが正しい。そしてその方法論は、ランディスがアダムスの原作からテレビドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」に脚色した時と共通するものがあって、なるほど、先に映画『ヴィクター・フランケンシュタイン』を観ていたら「私立探偵ダーク・ジェントリー」第1話を観た時に感じた戸惑いはもっと薄かったかもな、とも思った。
 『ヴィクター・フランケンシュタイン』、レンタルDVDも始まっているようなので、興味もある方はご覧ください。そうそう、この映画の冒頭を観た時、「ま、まさか「フランケンシュタイン」で「フリークス」をやるつもりか、だから日本では劇場未公開になったのか?!」と青ざめた(映画「フリークス」(1932年)は友人から粗筋を聞いただけで震え上がってしまい、実際には観てない)けど、幸いそういう展開にはならないので、怖いのとかグロいのが苦手な人も大丈夫ですよ。

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2017.4.1.  映画『SING』

 3月17日(金)から日本での上映が始まったガース・『銀河ヒッチハイク・ガイド』・ジェニングス監督の長編CGアニメーション映画『SING』、待ってましたとばかりに公開初日に映画館に駆けつけた。
 私がこの映画の話を最初に聞きつけたのは2015年6月だったから、今から約2年近く前になる。その時は、主人公がコアラで声を担当するのがマシュー・マコノヒー、ということしか分からず、以来、内容的にも興行的にもどうかコケませんようにと祈っていただけに、昨年末にアメリカで公開されて批評的にも興収的にも成功を収めたと分かった時は心底ほっとした。早くも続編の製作が決定、とのニュースにも、ますますほっとした。続編をジェニングス監督が手掛けるかどうかはまだ不明だけど、続編を作りたいとプロダクションに思わせるくらいの成功だった、というのは、何はともあれめでたい限りじゃないか。
 とは言うものの、私が実際に3月17日に『SING』を観に行った時には、作品の出来映えとは全く別の意味での不安があった。『SING』は、さまざまな動物たちによる歌唱コンテストの話であり、作品の売りの一つが「誰もが聴いたことがあるヒットソングや名曲が60曲以上!」である。これまでさまざまなミュージシャンのPVを手掛けてきたジェニングスが手掛けるにふさわしい題材だとは思うが、問題は、このホームページでも再三書いている通り、私が音楽全般にものすごく疎いことだ。スタンダードナンバーとオリジナル楽曲の区別もつかないような私が観ても、楽しめるものかしら……?
 結論から言うと、はい、とっても楽しめました。
 出てくる洋楽で迷わず「あ、知っている」と思えた数えるほどで、大半は「ど、どこかで聴いたような?」「え、えっと、聴いたことあるはずだけど何の曲だっけ??」状態だったけど、ストーリーの骨子は「音楽愛」というより「劇場愛」――主人公のコアラが倒産寸前の劇場を立て直そうと奮闘するというバックステージものなのだ。おまけに、すべての登場人物がそれぞれの動物の特性を活かして造形され、(約1名を除いて)根っこの部分でみんなとても優しく、どのシーンのどの登場人物に対しても共感や感情移入をしやすい上に、CGアニメーションらしい映像の見せ場も随所に出てくる。歌うキャラクターの声を担当した俳優たちはみんなステキな歌声を披露していて、数週間前に『ラ・ラ・ランド』を観た時の落胆を大いに慰撫してくれた(『ラ・ラ・ランド』も、撮影と同時に歌も録音とか格好いいこと言ってないで、後からスタジオ録音すればよかったのに)。
 勿論、イントロを聴いただけで出て来た曲のタイトルと歌詞まで分かるような洋楽ファンなら、『SING』をきっともっと楽しめるだろうとは思う。でも、「私は洋楽には疎いし」と思って尻込みして観ないのはあまりに勿体ないと、声を大にして言いたい。ガース・ジェニングスが監督/脚本を担当しただけあって、映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』のあるシーンを彷彿とするとするような映像処理も出てくるし、何より『SING』のオリジナル楽曲を作ったのは、『銀河ヒッチハイク・ガイド』と『リトル・ランボーズ』、過去2作のジェニングス監督作品を手掛けたジョビィ・タルボット! タルボットの新作楽曲を大音響で聴けるんだもの、エンドクレジットのお得感はハンパない。
 という訳で、『SING』の続編、できればガース・ジェニングスジョビィ・タルボットが続投してくれたらいいなと思う。ま、たとえ監督と脚本とオリジナル楽曲が別の人に交替になったとしても、彼が声を担当したトカゲのミス・クローリーは続編にもきっと出演するだろうから、それを目当てに私がいそいそと映画館に行くことは確かだけどね。
 
 そして今回の更新は、2月20日に発売されたリチャード・ドーキンスの自伝本の続編『ささやかな知のロウソク 科学に捧げた半生』について。期待以上にアダムスの名前が頻出していて、さすがの私も面食らった。

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2017.5.6.  めでたいニュースとめでたくないニュース

 まずはめでたいニュースから。2015年9月、フラメンコのトップスターの一人、サラ・バラスによるパコ・デ・ルシアアントニオ・ガデスにオマージュを捧げた新作「ボセス フラメンコ組曲」が東京・渋谷の東急シアターオーヴで上演されたが、この舞台の製作裏と世界ツアーの様子を撮影したドキュメンタリー映画「パッション・フラメンコ」が、今年8月に渋谷のBunkamura ル・シネマで上映決定とのこと。やった!
 勿論、私も2年前の東京公演には馳せ参じた一人だが、この時は最新のフラメンコの凄さにただただ圧倒されるばかりだった。それだけに、日本語字幕という解説付きでこの作品にもう一度出会えるのはとても有難い。
 2015年10月3日付の同コーナーでも書いた通り、こういうドキュメンタリー映画が日本で一般公開されるのも、日本には本気のフラメンコファンがたくさんいらっしゃって、本気度の低い私が「アントニオ・ガデスとは関係なさそうだしな」とスルーしている舞台や映画に足繁く通ってくださっているおかげである。ほんと、頭が上がらない。
 私も、マイペースなりに頑張らんとな。
 
 続いてこちらもめでたいニュース。4月30日、WOWOWでノルシュテインの傑作アニメーション作品集と、ノルシュテインのドキュメンタリー番組が合わせて放送された。ノルシュテインの「霧につつまれたハリネズミ」や「話の話」がいかにアニメーション史上に残る傑作であろうと、どちらも1970年代にソビエトで製作された短編アニメーションだ。そんなマニアックな代物が、2017年にもなって有料チャンネルとは言え日本でテレビ放送されるなんて本当に嬉しい。いわゆる「萌え系アニメ」しか観たことのないイマドキの若い人たちに、アニメーションにはこういう表現方法もあるのだと知ってもらえるといいなと思う――というか、咄嗟にそういうことを考えてしまう私もすっかり歳を取ったものだと思う。
 
 最後に、全然めでたくないニュース。毎年、ダグラス・アダムスの誕生日である3月11日辺りにロンドンの王立地理学協会で開催されていた「ダグラス・アダムス記念講演」が、今年はとうとう開催されなかった。ううううう。
 いやまあその、おととしの講演者にニール・ゲイマンが選ばれた辺りから危機感は抱いていたんだけどねえ。ニール・ゲイマンがダグラス・アダムスに関して講演を行うこと自体は不思議はないしそれどころか私だって切実に参加したかったくらいだけれど、でもこの記念講演の趣旨を考えれば、人気小説家ではなく科学者や科学ライターのほうがふさわしい。それでもゲイマンが登壇したということは、他にお願いできる人がいなかったんだろうなあと邪推せずにはいられなかったし、邪推が邪推で終わるよう祈ってもいたが、やはりダメだったか……。
 ま、今年はダメでも来年は復活するかもしれないし、それに今月25日のタオル・デーにはロンドンのトッテナム・コート・ロードにある書店ウォーターストーンズで「Stand Up for Towel Day gig」が開催され、収益は「ダグラス・アダムス記念講演」を主催していたサイ国際保護団体 Save the Rhino International に送られるらしい。この他、ニュージーランドのオークランドにあるスタードーム天文台のプラネタリウムでは、タオル・デーの特別イベントとして映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』の上映会を行うのだそうな。
 バトンはまだまだ途切れない。
 
 という訳で、気を取り直して今回は、「SF MASTERWORKS」シリーズの1冊として2013年に発売された小説『宇宙の果てのレストラン』につけられた、ミッチ・ベンによる序文を追加。

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2017.6.3.  ブルーレイになったノルシュテイン作品集

 昨年12月、ノルシュテインの代表作の2K修復版が劇場公開されたが、そのDVDおよびブルーレイが、KADOKAWA / 角川書店より5月26日に発売された。
 2002年にパイオニアLDCから発売されたDVDも、私は勿論持っている。が、昨年12月に渋谷の映画館イメージフォーラムにて2K修復版を観てその美しさに驚嘆した身としては、今回のブルーレイ購入に何のためらいも感じなかった。おまけに、先日ブルーレイの実物が届いてみたら、初回限定のスチールブック装丁や32ページのブックレット、ハリネズミさんの風呂敷包みのピクチャーディスク、さらにはAmazon.co.jpで予約注文した場合の特典であるクリアファイルまで、どれをとってもうっとりするほど美しいではないか。
 これだけで早くも大満足だったが、早速ブルーレイを見てみると、何と日本語ユーザーでない人のことも考慮して英語でのブルーレイ操作が可能になっている! そして作品の英語字幕を監修したのが他でもない、イギリスのアニメーション研究家で『『話の話』の話ーアニメーターの旅 ユーリー・ノルシュテイン』の著者である、あのクレア・キッソンだ! (ただし英語字幕はブルーレイのみ、DVDにはついていないそうなので、要注意)
 ううむ。どこをとっても製作スタッフの並々ならぬ熱意を感じずにはいられない。KADOKAWA / 角川書店のDVDと言えば、まるでやる気の感じられない「SHERLOCK/シャーロック」のDVD-BOXのせいで、私の中では株が下がるところまで下がっていたのに。同じ会社でも、製作担当者が違えばこんなにも差が出るものなのか?
 ともあれ、今回の「ユーリー・ノルシュテイン作品集」のブルーレイは本当に素晴らしい仕上がりなので、「DVDを持ってるからまあいいか」とスルーするのは早計だと声を大にして主張したい。特典映像として収録されていた2016年10月29日の公開講座の抜粋も、これまで児島宏子さんが通訳されているこの種の講座やインタビューは可能な限り片っ端からチェックしていて、児島宏子さんがノルシュテインに話しかける時の、「スカジーチェパジャールスタ」を少なく見積もっても20回は耳にしている私でさえ、「へええ、そうだったんだ!」な話が出てきたし(「スカジーチェパジャールスタ」は、Eテレのロシア語講座を丸3年も観た挙げ句に私が憶えた、数少ないロシア語である)。
 
 そして今回の更新は、前回に引き続き、「SF MASTERWORKS」シリーズの1冊として2013年に発売された小説『宇宙クリケット大戦争』につけられた、ジョン・ロイドによる序文を追加。

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2017.7.1.  エド・ヴィクターの訃報

 先月7日、長年に亘ってダグラス・アダムスのエージェントを務めていたエド・ヴィクターが亡くなった。享年77歳。
 彼の訃報をツイッターで最初に知った時、「ああ、また一人、生前のアダムスをよく知る人物がこの世を去ってしまった」と嘆いたが、それから数日、あちこちのサイトに掲載されたエド・ヴィクターの追悼文を読んでみても、ダグラス・アダムスの名前は全然見つからない。エド・ヴィクターは私にとっては「ダグラス・アダムスのエージェント」でしかないが、実際のところは現在進行形の大物クライアントが多すぎて15年も前に亡くなった作家の名前を出す余地はないということなのだろう。調べてみると、いわゆる作家だけでなく、エリック・クラプトンやアンドリュー・ロイド・ウェーバーやU2といった音楽業界のスーパースターも顧客リストに入っているようで、こりゃ確かにとんでもないわ。
 とは言え、「出版エージェント」という黒子の立場ゆえか、エド・ヴィクターの個人情報はネット上でもほとんど見つからなかった――私の検索の仕方がなまぬるいせいか生年月日すら不明だったのに、本人が亡くなった途端、追悼文という形で、生年月日は言うに及ばず生まれ育った家庭環境から学歴、果ては配偶者や子供の名前まで詳らかになる、というのは、不思議と言えば不思議な気もする。2008年に、テレビ・プロデューサーのジェフリー・パーキンスが亡くなった時も、全く同じようなことを思ったっけ。遅ればせながらでも、へええ、こういう人だったんだ、と分かるのはありがたいんだけどね。
 
 話は変わって、前回と前々回の更新で、「SF MASTERWORKS」シリーズの一環として出版された小説『宇宙の果てのレストラン』と『宇宙クリケット大戦争』につけられた序文を追加したが、これら2冊の本が出版されたのは今から3年以上前のこと。いやはや月日の経つのは早い早い――というか、実を言うとこの2冊、新宿紀伊國屋の洋書売り場で見つけて嬉々として買って家に戻ったら、とっくにネットで購入済みだったという、悲しいダブり本だったりする。いえね、買って持っていたような気もしたんだが、書店の隅でこそこそ自分のホームページを検索してみたところ、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の分の序文しかアップされてなかったものだから、やっぱり買い損ねていたんだなと思い直してしまったのだ。何たる自業自得。
 もともとこのホームページは私以外の日本語ユーザーにダグラス・アダムスと『銀河ヒッチハイク・ガイド』を広く紹介するために作ったものだが、近頃では物忘れが激しくなって、もっぱら私自身のための備忘録と化している気がする。時には自分で書いたものを読んで「へええ、そうだったんだ」と呑気に感心したりもしてて、いろいろ末期的だなあ……。
 
 気を取り直して今回の更新は、本棚の奥で「SF MASTERWORKS」シリーズの3冊と並んで長年放置されていた、1997年発売の小説 Starship Titanic の序文。ダグラス・アダムス本人の文章を訳すのは久しぶりで、ちょっとドキドキした。
 
 そして今回も、2ヶ月の夏休みに入ります。例年なら9月2日のはずだけど、今回は海外旅行中のため、次回の更新は9月9日。無事の帰国を祈っててください。

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2017.9.9.  追悼/ブライアン・W・オールディス

 2017年8月、ブライアン・W・オールディスが亡くなった。享年92歳。
オールディスと言えば、私にとっては「『銀河ヒッチハイク・ガイド』嫌いと公言している人」である。デイヴィッド・ウィングローブと共著した SF評論『一兆年の宴』の中で、ダグラス・アダムスをこき下ろしている(「のちにダグラス・アダムスが『銀河ヒッチハイク・ガイド』をひっさげて現れ、以前として貧乏なシェクリーをしりめに、シェクリー流の風刺で金持になったのを見て、古くからの読者は天を仰いだ」とかね)のを初めて読んだ時はくらくらしたが、オールディスが高く評価しているバリントン・ J・ベイリーを私はまったく受け付けなかったこともあって、ある意味、筋は通っているなとは思った。2008年のロンドン旅行の際には、自身が編集したSFアンソロジーの序文でわざわざ『銀河ヒッチハイク・ガイド』を「時代遅れ」と書き添えているのを発見して、ある意味、本当に徹底しているなとも思った――イギリス在住で そこまで『銀河ヒッチハイク・ガイド』が嫌いなら、あちこちで『銀河ヒッチハイク・ガイド』からの引用を目にしてさぞムカつく機会も多いでしょうね(苦 笑)、とも。
 当然ながら、私はブライアン・W・オールディスの愛読者ではまったくない。
 が、彼の訃報をツイッター経由で最初に知った時は、それでも一抹の寂しさを憶えた。我ながら図々しいとは思うが、好敵手を失った気分、とでも言おうか。
 私がこのホームページに載せている私なりの「『銀河ヒッチハイク・ガイド』考」は、読んでいただければお分かりの通り、オールディスが『一兆年の宴』の前に発表したSF評論『十億年の 宴』に多くを拠っている。それでいて、『一兆年の宴』への反論でもある。日本語で書いて自作のサイトにアップしているだけでは、オールディス本人に届くは ずもなかったのだけれど……。

 気を取り直して今回の更新は、イギリスのSF作家ニック・ハーカウェイと、2014年に出版された素晴らしく美しい特装版の『銀河ヒッチハイク・ガイド』にハーカウェイが寄せた序文を紹介。
 誰が何と言おうと、ダグラス・アダムスに影響を受けた次世代の作家は続々と育っていて、これもその証の一つ。どうだオールディス、参ったか――と、容赦ない勝鬨の声を上げたかったのに、残念ながらあなたはもういない。嗚呼!

 そうそう、今月の更新が9月第2週目の土曜日である今日9月9日だったように、来月の更新も2週目の土曜日、10月14日になります。どうかご容赦を。

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