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能書き 何でこんなページを追加することになったのかについての言い訳

2018年

2019.2.2. 今年もよろしくお願いします
2019.3.2. 祝・オリヴィア・コールマンのオスカー受賞!
2019.4.6. ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる


能書き

 自分のホームページを初めて世界に向けて公開したのが2001年2月12日、それからほぼ毎週土曜日ごとに地道に更新を続けてきたけれど、その過程で実はひそかにストレスが溜まっていた。
 表向き、私のホームページの内容は、ダグラス・アダムスとユーリ・ノルシュテインとアントニオ・ガデスの3人についての紹介で、そこには当然私の主観が色濃く反映されてはいるものの、一応ある程度の客観的な情報を記載するに留めている。その気になれば、誰でも調べられることではあるがそこまで調べようとは思わないだろうこと、たとえばアルメイダ劇場のこととか、または個別には知っていたとしても関連を意味づけようとはしないだろうこと、たとえばダグラス・アダムスとリチャード・ドーキンスの関係とか、そういう類の事柄だ。
 だが、そうやって細々とした事どもを追いかけているうち、してやったりの体験や思いがけない幸運に出くわすことがある。だがそれらはあくまで私個人に属することなので、当然これまでホームページの中には一切盛り込まなかった。
 たとえば、ロード・クリケット場。私は、ロード・クリケット場に入ったことがある。それも、一観客としてクリケットの試合を見たのではない。大体、私が訪れた日は試合をしてすらいなかった。では、会員でもなければ入れないはずのクリケット場に、どうしてクリケットのルールもロクに知らない私が試合のチケットもなしに入れてもらえたのかと言うと、その時私と一緒にロンドンを旅行していた友達の叔母さまがイギリス人と結婚してロンドンに住んでおられて、その結婚相手のイギリス人紳士がイギリス人紳士にふさわしくクリケットのファンで、ロード・クリケット場の会員だったのだ。そして、私の(かなり歪んだ理由でではあるが)ロード・クリケット場に対する思い入れを知ると、快く案内役を引き受けてくださった。
 何年か前の3月。その年は常にない暖冬で、3月とは言えセーター一枚で汗ばむ程の陽気だった。叔母さまの自宅はリージェンツ・パークの東側で、そこからリージェンツ・パークを横切ってロード・クリケット場に歩いて行くことになった。私と友達とイギリス人の叔父さまの3人で、相当に怪しい英語で話しながら、柔らかい緑に染まった公園を散歩したこと、途中公園内にある休憩所で紅茶とお菓子をごちそうになったこと、友達はその時つましくスコーンを一つ手に取ったのに、私はやたらデカくて派手なフルーツタルトを食べたこと、いざクリケット場の前にたどりついて、施錠された門の前に立てただけでも感無量だったのに、叔父さまが中の人に話しかけて鍵を開けてくれるようお願いしてくださったこと、さすがにグラウンドの芝生の中には入れなかったがすぐそばまで行けたこと、私の全く知らないクリケットの名選手の写真が貼られたグラウンドの売店で、シンボルマーク入りのグッズやポスターを買えたこと、それらの記憶は褪せることなく今も鮮明に残っている。
 おととしの初夏、叔父さまは早世された。さすがに私は行けなかったが、友達は直ちにイギリスに飛び、デヴォン州で行われた葬儀に間に合うことができた。その時、「クリケットに興味がある珍しい日本人」ということで、私の話も出たらしい。帰国した友達は、普段叔父さまが愛用されていたというロード・クリケット場のマグカップを、形見の品として私にくれた。マグカップには、ENGLAND V AUSTRALIA ASHES SERIES LORD'S 1993 という文字と、クリケットのバットを持った獅子(イギリス)とカンガルー(オーストラリア)のイラストが書かれている。
 と、書き始めるときりがないが、それらはあくまで個人レベルの話である。故に、「ロード・クリケット場」の項目に載せるべきではないと考え、実際に書いたのは名称や最寄り駅や歴史についてのとびきり客観的な情報だけに絞った。絞ったものの、欲求不満は残った。
 という次第で、「更新履歴・裏ヴァージョン」新設と相成った。こちらには、表の側には載せられない個人的な感想や思い出やその他もろもろについて、週間日記のような感覚で気の向くままに書いていくつもりでいる。
 よろしければ、お付き合いください。

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2019.2.2.  今年もよろしくお願いします

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 
 過去2年の年末年始がNetflixのテレビドラマ『私立探偵ダーク・ジェントリー』のシリーズ一挙公開で大騒ぎだったのに比べ、第3シリーズの製作が見送られた今回は平静な年越しだった。昨年10月からBBCでテレビドラマ『ドクター・フー』第11シリーズの放送が始まったりもしたが、製作総指揮がスティーヴン・モファットからクリス・チブナルに、主演がピーター・カパルディからジョディ・ウィテカーに変わったことで、ダグラス・アダムスや『銀河ヒッチハイク・ガイド』へのオマージュや目配せが消えたこともあって、作品の出来不出来と別の意味で私が色めき立つ機会もなかった――クリス・チブナルが最初に書いた『ドクター・フー』の脚本、第3シリーズ第7話が『銀河ヒッチハイク・ガイド』オマージュ作品で、その名もズバリ「42」だっただけに、ちょっと期待してたんだけどな。まあ仕方ない。
 そんなこんなで、何だかいろいろなことが一段落したのかなとしみじみしていた頃、久しぶりに「ご意見・ご感想はこちらまで」のページからメールが届いた。アントニオ・ガデス関連の調べ物をしていて私のホームページにたどり着き、もし分かったら教えてほしいとことがあるという。その数時間後、「自力で解決しました」とのメールが追加で届き、残念ながら(?)私の出番はなくなってしまったが、それでも私のホームページを何らかの形で参考にしていただけたのなら、それはそれで十分嬉しい。ここ数年、アントニオ・ガデス関連のページは放置気味になっていたけれど、これを機にまたちょっと振り返ってみようかな。
 そうそう、私のホームページを形成する3本柱の残る1本、ユーリ・ノルシュテイン関連についても、2019年1月21日にツイッター経由で新しいドキュメンタリー映画が公開されるとのビッグニュースが飛び込んで来た。映画のタイトルは『ユーリー・ノルシュテイン 《外套》をつくる』。3月下旬から東京/渋谷のシアター・イメージフォーラム他で公開される予定で、特別鑑賞券を劇場窓口で買うと「ノルシュテイン直筆オリジナルミニ手ぬぐい」が付いてくるそうな。普段の私はおまけ欲しさに映画の前売り券を買うことはないけれど、ハリネズミさんのオリジナルイラストが描かれているとなれば話が別だ。何が何でもシアター・イメージフォーラムで特別鑑賞券を買わねばならん!

 ……ということで、2019年もまだまだ地道に更新を続けたいと思います。今回の更新は、在野のダグラス・アダムス・ファンによるエッセイ集、You and 42 の追加紹介。世界中の「濃い」ファンたちのさまざまな思い入れに、読んでいて感心するやら共感するやら、もうタイヘン。みんな、『銀河ヒッチハイク・ガイド』との出会いについて、出会った後の人生について、語りたいんだよね。その気持ち、よーーく分かりますとも。私も負けちゃいられないわ。

 それから「My Profile」欄に「2018年のマイ・ベスト」も書き足したので、こちらもよろしく。このコーナー、2001年の分から毎年発表してきたが、今回初めて日本映画が第1位になった。
 映画の第1位を選ぶのに迷いはなかったのに対し、小説を1作選ぶのにはえらく迷った。訳してくれてありがとうの意味をこめてダグラス・アダムスの『長く暗い魂のティータイム』にしようかなとも思ったけれど、それじゃあまりに芸がないし、ジョン・ウィリアムスの『ブッチャーズ・クロッシング』はすごく気に入ったけれど、2014年に同じ著者の『ストーナー』を選んじゃったし、日本の年末ミステリランキングで史上初の4冠前制覇に輝いたアンソニー・ホロヴィッツの『カササギ殺人事件』もめちゃくちゃおもしろかったけれど、一度読めば気が済んじゃったし。ということで、悩んだ末に選んだのがリチャード・フラナガン著『奥のほそ道』。題材が題材だけに、正直、気軽に手に取れる本ではなかったけれど、さすがブッカー賞受賞作、格が違った。

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2019.3.2.  祝・オリヴィア・コールマンのオスカー受賞!

 私の大好きなイギリスの女優オリヴィア・コールマンが、映画『女王陛下のお気に入り』でアン女王を演じてアカデミー主演女優賞を受賞した。
 いやあ、実にめでたい。『女王陛下のお気に入り』だけでなく、近年彼女が主演したイギリスのテレビドラマ『ブロードチャーチ』や『ナイトマネジャー』も大好きだし、先月までBBCで放送されていたテレビドラマ版『レ・ミゼラブル』も彼女のマダム・テナルディエだけを目当てに観ていたくらいだ。アカデミー賞授賞式のスピーチもとびきりチャーミングで、なるほどコールマンの数々の素晴らしい芝居の背後には、技術や知性だけでなく、こういう素敵なお人柄もあったのだなと思わずにはいられなかった。
 が、このコーナーでわざわざオリヴィア・コールマンの話を持ち出したのは、勿論、彼女が他でもない「ダグラス・アダムス関連人物」リストの一人だからである。オリヴィア・コールマンは、2007年から2008年にかけて、ラジオドラマ版『ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所』とその続編『長く暗い魂のティータイム』で、怒れる秘書ジャニスを演じていたのだ。
 今から10年以上前でも、オリヴィア・コールマンはテレビのコメディ番組『ピープ・ショー ボクたち妄想族』(2003年〜2015年)でイギリス国内では十分知名度のある女優だったかもしれないが、でも10年後に彼女がオスカーを獲得するほどのビッグネームになると予想した人はほとんどいなかったと思う。ダーク・マッグス、あのタイミングでよくぞ彼女をジャニス役に起用してくれました。ラジオドラマ『ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所』『長く暗い魂のティータイム』、今ならAudible.comでダウンロード視聴できるので、聴いてくれる人が一人でも増えるといいな。というか、私も久しぶりに聴き直してみようっと。
 しかし、これまで「ダグラス・アダムス関連人物」に名前を挙げた大勢の役者の中で、アカデミー賞を受賞したのはオリヴィア・コールマンが初めて、と思っていたけれど、忘れてた、昨年のアカデミー賞で映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』でゼイフォードを演じたサム・ロックウェルが『スリー・ビルボード』で助演男優賞を受賞していたっけ。彼の名前は「ダグラス・アダムス関連人物」ではなく映画キャスト一覧で紹介しているとは言え、サム・ロックウェルの受賞をスルーするとは誠に申し訳ない。私はこれまで映画『銀河ヒッチハイク・ガイド』の最大の欠点は冒頭のキャストクレジットで主演のマーティン・フリーマンを差し置いて一番最初にサム・ロックウェルの名前を流したことだと常々思っていたが、一応アカデミー賞俳優になったことだし許してやるか……と一瞬思ったけど、いや、やっぱり許してやらん(笑)。
 
 そして今回の更新は、在野のダグラス・アダムス・ファンによるエッセイ集、You and 42 を引き続き紹介。イマドキの若い人にはピンとこないだろうけど、ネット検索なるものが存在しなかった時代ならではの発見の驚きや喜び、私も痛いくらい分かりますとも! 

 それから、前回の同コーナーでも紹介したドキュメンタリー映画『ユーリー・ノルシュテイン 《外套》をつくる』。私も早々に「ノルシュテイン直筆オリジナルミニ手ぬぐい」付き特別鑑賞券を買いに東京/渋谷のシアター・イメージフォーラムに足を運んだところ、早く行き過ぎて「ノルシュテイン直筆オリジナルミニ手ぬぐい」がまだ納品されておらず、代わりに映画上映当日に受け取るための引換券を貰うことに。ま、それはそれで構わないけれど、でも映画の上映開始日が3月になった今なお公式サイトで「3月下旬」としか書かれていないのが気がかりで、そっちのスケジュールだけでもそろそろ決まってくれないかなあ。

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2019.4.6.  『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』

 3月23日から上映が始まったドキュメンタリー映画『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』を観に、東京/渋谷のシアター・イメージフォーラムまで行ってきた。
 2019年2月2日付の同コーナーに書いた通り、前売券を買った時に受け取った引換券で「ノルシュテイン直筆オリジナルミニ手ぬぐい」も無事ゲット。早速、切りっぱなしの縁の部分をまつり縫いして部屋に飾っている。普通に「手ぬぐい」として使うなんて、そんなもったいないことできませんって。
 それはさておき肝心の映画のほうは、才谷遼監督がモスクワにあるノルシュテインのスタジオに行ってインタビューする、というもの。映画が始まるや否や、字幕で説明されるまでもなく、あ、通訳の児島宏子さんだ、あ、ノルシュテインの助手のターニャ・ウスヴァイスカヤさんだ、と、分かってしまう自分がストーカーじみててちょっと怖い。ロシア語が全然わからないにしては、ノルシュテインの語り口に馴染みがありすぎるのも怖い。考えてみれば、ファン歴30年以上だもんな。我ながらしみじみしつこい性格だよ。
 当然、ファン歴=《外套》の完成を首を長くして待っている歴、ということになるが、30年もの年月も過ぎてしまえばあっという間だった。故に、ノルシュテインの 《外套》が一向に完成しないことについても、私に言わせれば「30年もの年月も過ぎてしまえばあっという間だよね」としか思わない。そりゃ1秒でも長く作ってほしいのは山々だけど、結局のところ、作るも作らないもノルシュテインの自由だし。
 が、『ユーリー・ノルシュテイン 《外套》をつくる』の才谷遼監督に言わせれば、そういう問題ではないらしい。インタビューの中で、ノルシュテインに対し「作品の完成をみんなが待っていることを、あなたはちゃんと理解していない」と責めるような口調で繰り返していて、スクリーンのこちら側にいる私としては黙って観ているしかないのが歯がゆかった。芸術家としての責務がある、世間の期待に応えなくてはいけない、というのは一見立派な考え方のようだけれど、この種の義理でがんじがらめになって自分で自分の首を絞めるのが日本人の一番よくないところじゃないの? 挙げ句、「いつになったら完成するのか」なんて、そんなこと真顔で訊かれてもノルシュテイン本人にだって答えられないに決まってるじゃないか……。
 勿論、インタビューというのは相手が答えに窮する様を捉えることにも意義がある。そこが馴れ合いの内輪トークとは違うところだ。ひょっとすると、才谷監督の狙いもそこにあったのかもしれない。でも30年来のファンとしては、インタビューのたびに「《外套》がいつになったら完成しますか」と同じ質問をされてうんざりしているノルシュテインの姿を見るより、「ノルシュテインと行くサンクトペテルブルク文学散歩」のシーンのほうがはるかに興味深いしありがたい。何なら、ノルシュテインと児島宏子さんがサンクトペテルブルクを歩き回り、ゴーゴリやドストエフスキーゆかりの場所を訪れては解説する、というだけの映画を作ってくれてもいいのよ?
 さらにワガママを言えば、サンクトペテルブルクに土地勘のない(私のような)人間にも街の位置関係や距離感がつかみやすいよう工夫してもらえたなら、もっとありがたかったんだけどな。ノルシュテイン本人が手がけた訳でもないゴーゴリの「鼻」のアニメーションを、わざわざ新規に作って挿入したりしなくていいから。
 
 気を取り直して今回の更新もまた、在野のダグラス・アダムス・ファンによるエッセイ集、You and 42 の続き。今回採り上げたエッセイ3本はどれもダグラス・アダムスと『ドクター・フー』について書かれたものだが、それぞれに愛憎入り乱れていておもしろい。

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