Who is Douglas Adams?


 ダグラス・アダムスの略歴を簡単にまとめると以下の通り。

1952年3月11日生。ケンブリッジ大学卒。1978年BBC放送のラジオ・ドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』の脚本を執筆、その翌年に出版した小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』がベストセラーとなり、一躍人気作家となった。その後、『銀河ヒッチハイク・ガイド』はテレビ・ドラマ化、舞台化、コンピュータ・ゲーム化され、また続編の小説には『宇宙の果てのレストラン』、『宇宙クリケット大戦争』、『さようなら、いままで魚をありがとう』、『ほとんど無害』ある。この他にダーク・ジェントリー・シリーズの小説が2冊、またBBCラジオの企画で世界の稀少動物に会う旅をまとめたエッセイ『最後の光景』などがある。また、イギリスのデジタル・メディア会社デジタル・ヴィレッジの創設メンバーであり、コンピュータ・ゲーム『宇宙船タイタニック』を製作した。マック・ユーザーとしても知られる。2001年5月11日死去。享年49歳。

 ひらたく言えば、SFコメディ『銀河ヒッチハイク・ガイド』の生みの親、である。


 この『銀河ヒッチハイク・ガイド』、1982年には小説版が日本語に翻訳されて新潮文庫として出版されたものの、残念ながらたいしてヒットしなかった。挙げ句、長らく絶版の憂き目となっていたのだが、2005年に映画版が公開されたのを機に、河出書房文庫として新訳が出版された。この新訳は2009年9月の時点で9刷まで出ているし、映画版もDVDとして今も普通に販売/レンタルされているので、日本でも「知っている」人はかなり増えたと思う。
 とは言え、知名度の高さでは欧米とはまだまだ比較にならない。何せ、小説版の発売から30年近く経った現在でもなお、空港の狭い書店の棚にペーパーバックを見付けることができる程のベストセラーにしてロングセラーなのだ。2003年にイギリスのBBC放送が行った読書キャンペーン、The Big Read の愛読書投票では堂々の第4位に輝いているし、アメリカやドイツ、オーストラリアの愛読書調査でも上位に選出されている(詳しくはこちら)。

 『銀河ヒッチハイク・ガイド』のとその作者ダグラス・アダムスの知名度の高さを示す具体例を、更にいくつか挙げてみると――

・2008年6月に発売され、グラミー賞も受賞したコールドプレイの最新アルバム、『美しき生命』。このアルバムに収録された「42」という曲のタイトルは、『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てくる「生命と宇宙と万物についての究極の答」に由来している。ついでに言うと、コールドプレイのデビューアルバムの1曲目「ドント・パニック」も、『銀河ヒッチハイク・ガイド』由来である。
 
・2007年12月末に発売された新作アルバム『イン・レインボウズ』が、日本のオリコン洋楽アルバムの週間ランキングで1位になった、レディオヘッド。彼らが1997年に発表し、90年代を代表するロック・アルバムと絶賛された『OKコンピューター』の中で、唯一シングルカットされた「パラノイド・アンドロイド」は、『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てくる鬱病ロボット、マーヴィン(Marvin the Paranoid Android)に由来している。
 
・1988年、カーネギー・メロン大学の大学院生のチームが、世界トップクラスのプレイヤーに匹敵するチェス・プレイング・マシン「ディープ・ソート」を製作する。このマシンは、トーナメントでグランド・マスターを打ち負かした最初のコンピュータとなったが、「ディープ・ソート」という名前は、『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てくるスーパー・コンピュータにちなんで付けられた。
 
・2005年5月10日、新しく発見された小惑星が公式に 'Arthuredent' と命名された。アーサー・デントとは、『銀河ヒッチハイク・ガイド』の主人公の名前である。架空のキャラクターの名前が惑星につけられたのは、これが初めて。

 この他にも、たとえば、『利己的な遺伝子』の著者として日本でも有名な進化生物学者のリチャード・ドーキンスは、個人的にアダムスと親交が深かったこともあって、自著の中でたびたびアダムス作品を引用している。イギリスの数学者、イアン・スチュアートもかなりの『銀河ヒッチハイク・ガイド』好きとみえて、『数学の冒険』(1987年)や『自然の中に隠された数字』(1995年)で『銀河ヒッチハイク・ガイド』を引用するのみならず、1983年に出版した数学専攻の大学生向けの解説書には、'The Hitchhiker's Guide to the Plane' というサブタイトルまで付けた。理論物理学者のスティーヴン・ホーキングに至っては、テレビの『銀河ヒッチハイク・ガイド』の紹介番組で「ディープ・ソート」の声を担当したことがある。
 また、推理小説家ミネット・ウォルターズが1994年に発表し、英国推理作家協会ゴールドダガー賞を受賞した『鉄の枷』のエプグラフには『銀河ヒッチハイク・ガイド』が使われているし、2005年からイギリスでテレビ放送が始まり、現在まで高視聴率を記録しているSFドラマ『ドクター・フー』新シリーズでも、『銀河ヒッチハイク・ガイド』からの引用やオマージュがあちこちで見られる。イギリスのバンド、レヴェル42の名前も、『銀河ヒッチハイク・ガイド』にちなんで付けられた。

 どうです、ちょっとしたものでしょう?

 それでは、そろそろ次の疑問に進むとしますか。すなわち――『銀河ヒッチハイク・ガイド』って何?


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