『宇宙の果てのアンソロジー』(Yeffeth, Glenn, ed. The Anthology at the End
of the Universe: Leading Science Fiction Authors on Douglas Adams'
Hitchhiker's Guide to the Galaxy)の執筆者は以下の通り。
ミネソタ州ミネアポリス生まれ。現在はテキサス州ヒューストンにあるライス大学心理学部助教授。専門は心理学・人間工学で、人間の認知心理や行動をコンピュータでシミュレートし、よりよいシステム・デザインの構築を目指している。また、熱心なマッキントッシュ・ユーザーでもあるらしい。
カナダ・バンクーバー在住のSF・ホラー作家。主な著作は、Steeldriver(1998年)、Timberjak(1999年)、V.I. (2000年)など。また、ドン・コルテス名義で The Closer (2004年)、The Man Burns Tonight: A Black Rock City Mystery (2005年)というミステリー小説も発表するかたわら、テレビ・ドラマ『CSI:マイアミ』のノベライズ(『CSI:マイアミ カルトの狂気』『CSI:マイアミ 水中の悪魔』)も手掛けている。
Cory Doctorow コリイ・ドクトロウ 1971.7.17-
SF作家・社会活動家。17歳で最初の短編小説が活字となり、1998年に短編小説「クラップハウンド」で注目を集める。2003年には初の長編小説『マジック・キングダムで落ちぶれて』を出版し、ローカス賞第一長編賞を受賞した。カナダ・トロント生まれで現在はロンドンに在住している。ロータス社の創設者が結成した、ネットワークにおける表現の自由や著作権問題を取り扱う非営利組織、電子フロンティア財団(the Electronic Frontier Foundation, EFF)のヨーロッパでの調整役(European Affairs Coodinator)でもある。ドクトロウが書いたグーグルに関する短編小説 'Scroogled'(邦題「グーグルが悪に変わるとき」)はネットでも読むことができるので、興味のある方はこちらへ。
フリーライター・SF作家。ウィリアム・ギブソンらに代表される1980年代SFの潮流を「サイバーパンク」と呼ぶが、この名称はベスキが1980年に発表した短編小説 'Cyberpunk' が基になっている。1995年には長編小説 Hardcrash でフィリップ・K・ディック記念賞を受賞した。1999年には映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』のノベライズを出版している(ただし、これはとても苦い経験だったらしい)。
"The Secret Symbiosis: The Hitchhiker's Guide to the Galaxy and Its Impact on Real Computer Science"
ロンドン生まれのSF作家・英文学者。ケンブリッジ大学で博士号を取得し、これまでに9冊のSF小説と6冊のパロディ小説を出版している。ロバート・ブラウニングやフレドリック・ジェイムソンに関する学術論文の他、SF史に関する著作もある。現在、ロンドン大学で英文学と創作を教えている。
Lawrence Watt-Evans ローレンス・ワット=エヴァンズ 1954-
SF・ファンタジー・ホラー作家。長編小説だけでも既に30冊以上の著作がある。1988年、短編小説「僕がハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」でヒューゴー賞を受賞。主なSF小説は『ナイトサイド・シティ』。マサチューセッツ生まれで、現在はメリーランド在住。
Selina Rosen セリーナ・ローゼン 1960.2.2-
SF作家。28歳でプロの作家となり、これまでに多くの長編・短編SFを発表するかたわら、1996年にはパートナーとともに Yard Dog Press という出版社を立ち上げてコミック・ブックを販売、現在ではSF・ファンタジー・ホラーのペーパーバックも出版するようになった。アーカンソー州在住。
フランス語版小説『宇宙船タイタニック』の翻訳者。この他に、アーサー・C・クラーク作品のフランス語訳も手掛けている。ロンドン在住で、禅カリグラフィ(書道の一種か?)と弓道を趣味とする親日家らしい。
SF作家。いくつかのSF雑誌に短編小説を発表した後、2000年にアシモフのロボットものの新作として初の長編小説 MIrage を出版。2002年には、Compass Beach でフィリップ・K・ディック記念賞にノミネートされた。ミゾーリ州セントルイス在住。
Jacqueline Carey ジャクリーン・ケアリー 1964-
ファンタジー作家。イリノイ州に生まれ、レイク・フォレスト・カレッジで心理学と英文学を学ぶ。卒業後、交換プログラムに参加して半年間ロンドンの書店で働いていた。2001年に最初の長編ファンタジー小説『クシエルの矢』を発表し、ローカス新人賞を受賞。現在までに、『クシエルの矢』シリーズを含む多くの短編・長編小説を出版している。ウエスト・ミシガン在住。
SF作家。ロマンス小説も手掛けており、1992年には米ロマンス作家協会のゴールデン・ハート賞を受賞している。これまで数多くの娯楽小説を発表してきたが、日本語に翻訳されたのは現在のところ2009年に扶桑社ロマンスの1冊として出版された文庫本、『君を想って燃え上がる』のみ。マルゲリーテ・クラウスとの共著もある。
"You Can't Go Home Again, Damn It! Even If Your Planet Hasn't Been Blown Up by Vogons"
政治コラムニスト。SF小説やグラフィック・ノベルも出版している。1996年には、ブルース・ベスキとの共著 Rebel Moon を発表した。
"The Subversive Dismal Scientist: Douglas Adams and the Rule of Unreason"
Stephen Baxter スティーヴン・バクスター 1957.11.13-
SF作家。イギリス・リヴァプールに生まれ、ケンブリッジ大学では数学を、サウサンプトン大学では工学を専攻した。1987年に最初の短編小説「ジーリー・フラワー」を発表、1991年に最初の長編小説『天の筏』を出版する。その後も最新の物理学理論を駆使した大作を次々と発表し、現代イギリスを代表するハードSF作家の一人となった。
主な著作は以下の通り(* はジーリー・シリーズ)。Raft (1991)* 『天の筏』 早川文庫 1993年
Timelike Infinity (1992)* 『時間的無限大』 早川文庫 1995年
Flux (1993)* 『フラックス』 早川文庫 1996年
The Time Ships (1995) 『タイム・シップ[上][下]』 早川文庫 1998年
Ring (1993)* 『虚空のリング[上][下]』 早川文庫 1996年
Vacuum Diagrams (1997) * 『プランク・ゼロ』 早川文庫 2002年『真空ダイヤグラム』 早川文庫 2003年 短編集。日本では2冊に分けて出版された。
Manifold: Time(1999)
Mammoth Book 1 : Silverhair (1999) 『マンモス/反逆のシルヴァーヘア』 早川書房 2001年
The Light of Other Days (2000) 『過ぎ去りし日々の光[上][下]』 早川文庫 2000年 アーサー・C・クラークとの共著
Manifold: Space(2001)
Manifold: Origin(2001)
Time's Eye (2003) 『時の眼ータイム・オデッセイ』 早川書房 2006年 アーサー・C・クラークとの共著Lunching at the Eschaton: Douglas Adams and the End of the Universe in Science Fiction
A. M. Dellamonica A・M・デラモニカ 1968-
SF・ホラー作家。1994年、短編小説 Lucre's Egg で作家デビューを果たし、雑誌やアンソロジーなどに短編小説を起稿している。カナダ・バンクーバー在住。名前のA. M. は「アレクサンドラ・マーガレット」の略で、2003年には同性のパートナーと正式に結婚した。
長年に亘ってフリー編集者として働くかたわら、SF・ファンタジー小説の執筆も手掛けてきた。2000年、長編ファンタジー小説 Blind Vision を出版。この他に、2004年に出版されたスーザン・サイズモアとの共著 Moon's Dreaming(Children of the Rock Duology, 1)、Moon's Dancing(Children of the Rock Duology, 2)がある。
SF作家。1980年代前半に、ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリングらと共に「サイバーパンク」作家の一人として頭角を現した。多くの長編・短編SF小説を執筆しているが、シャーリイの著作でこれまでに日本語に翻訳されたのは、ギブスンとの共作「ふさわしい連中」などの短編小説の他、バットマン・シリーズの小説『バットマン[デッドホワイト]』がある。現在サンフランシスコ在住。
SF・ファンタジー作家。1980年代後半から作家活動を始め、多くの短編小説を雑誌に掲載、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ストーカー賞にノミネートされたことがある。長編小説は、『スパイダーマン』シリーズの小説3冊の他にこれまで計4冊出版しており、中でも2002年に出版されたSFコメディ Vossoff and Nimmitz: Just a Couple of Idiots Reupholstering Space and Time は、ダグラス・アダムスに献辞が捧げられている。現在フロリダ在住。
エッセイスト。SFやファンタジーを中心に、さまざまなポップ・カルチャーについてのエッセイやコラムを執筆している。現在カリフォルニア州サイディエゴ在住。
ホラー・ファンタジー作家で詩人。結婚し、8年間RPG製作会社の共同経営兼ゲーム作家として働く。離婚後、ニール・ゲイマンやクライブ・バーカーらと知り合い、2000年頃から作品が売れるようになる。現在ロサンゼルス在住。
このアンソロジーの編集者。BenBella Books の経営者兼出版者でもある。シカゴ大学で経営学修士号を取得し、この出版社を起業した。少し奇妙な響きの社名は、彼の子供たちの名前、ベンジャミンとイザベラに由来するらしい。これまでに手掛けたアンソロジーには、映画『マトリックス』三部作についての『マトリックス完全分析』(Taking the Red Pill, 2003)などがある。