2022年5月21日にウェブ版「Esquire」で発表されたベストSF。50作品を選出するにあたり、シリーズ物は代表作1作に絞る、一人の著者につき1作品に限定する、何よりSFというジャンルに新しい風を吹き込み、「大胆にもこれまで誰も行ったことのない場所までたどりついた(“boldly go where no one has gone before.”)」作品であることを基準としたという。その結果、『銀河ヒッチハイク・ガイド』は42位に選出されたが、「42」位は恐らく偶然ではないだろう。
実際の記事では、選ばれた作品一つ一つに簡単な解説と選考理由が添えられていたが、ここでは『銀河ヒッチハイク・ガイド』についてのみ訳出した。
1. Frankenstein, Mary Shelley
『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー
2. Dune, Frank Herbert
『デューン砂の惑星』 フランク・ハーバート
3. The Martian Chronicles, Ray Bradbury
『火星年代記』 レイ・ブラッドベリ
4. The Fifth Season, N.K. Jemisin
『第五の季節』 N・K・ジェミシン
5. Kindred, Octavia E. Butler
『キンドレッド――きずなの召喚』 オクタヴィア・E・バトラー
6. The Left Hand of Darkness, Ursula K. Le Guin
『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グウィン
7. Never Let Me Go, Kazuo Ishiguro
『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ
8. Exhalation, Ted Chiang
『息吹』 テッド・チャン
9. Station Eleven, Emily St. John Mandel
『ステーション・イレブン』 エミリー・セントジョン・マンデル
10. Do Androids Dream of Electric Sheep?, Philip K Dick
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック
11. The Three Body Problem, Cixin Liu
『三体』 劉慈欣
12. 1984, George Orwell
『1984年』 ジョージ・オーウェル
13. The Employees, Olga Ravn
未訳 オルガ・ラウン
14. Brave New World, Aldous Huxley
『素晴らしき新世界』 オールダス・ハクスリー
15. How to Live Safely in a Science Fictional Universe, Charles Yu
『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』 チャールズ・ユウ
16. The Complete Robot, Isaac Asimov
『コンプリート・ロボット』 アイザック・アシモフ
17. Childhood's End, Arthur C. Clarke
『幼年期の終わり』 アーサー・C・クラーク
18. The Sirens of Titan, Kurt Vonnegut
『タイタンの妖女』 カート・ヴォネガット・ジュニア
19. Annihilation, Jeff VanderMeer
『サザーン・リーチ1 全滅領域』 ジェフ・ヴァンダーミア
20. An Unkindness of Ghosts, Rivers Solomon
未訳 リバース・ソロモン
21. Shikasta, Doris Lessing
『シカスタ―アルゴ座のカノープス』 ドリス・レッシング
22. The Resisters, Gish Jen
未訳 ギッシュ・ジェン
23. Oryx and Crake, Margaret Atwood
『オリクスとクレイク』 マーガレット・アトウッド
24. Ammonite, Nicola Griffith
未訳 ニコラ・グリフィス
25. Future Home of the Living God, Louise Erdich
未訳 ルイーズ・アードリック
26. 1Q84, Haruki Murakami
『1Q84』 村上春樹
27. Zone One, Colson Whitehead
未訳 コルソン・ホワイトヘッド
28. The Body Scout, Lincoln Michel
未訳 リンカーン・ミシェル
29. The Long Way to a Small, Angry Planet, Becky Chambers
『銀河核へ』 ベッキー・チェンバーズ
30. Dhalgren, Samuel R. Delany
『ダールグレン』 サミュエル・R・ディレイニー
31. Hyperion, Dan Simmons
『ハイペリオン』 ダン・シモンズ
32. The City & The City, China Miéville
『都市と都市』 チャイナ・ミエヴィル
33. Red Mars, Kim Stanley Robinson
『レッド・マーズ』 キム・スタンリー・ロビンソン
34. Radiance, Catherynne M. Valente
未訳 キャサリン・M・ヴァレンテ
35. The Children of Men, PD James
『人類の子供たち』 P・D・ジェイムズ
36. The Stand, Stephen King
『ザ・スタンド』 スティーヴン・キング
37. Rosewater, Tade Thompson
未訳 テイド・トンプソン
38. The Time Machine, H.G. Wells
『タイム・マシン』 H・G・ウェルズ
39. A Wrinkle in Time, Madeleine L'Engle
『五次元世界のぼうけん』 マデレイン・レングル
40. The Moon Is a Harsh Mistress, Robert A. Heinlein
『月は無慈悲な夜の女王』 ロバート・A・ハインライン
41. This Is How You Lose the Time War, Amal El-Mohtar and Max Gladstone
『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 アマル・エル=モフタール/マックス・グラッドストーン
42. The Hitchhiker's Guide to the Galaxy, by Douglas Adams
『銀河ヒッチハイク・ガイド』 ダグラス・アダムス
自分たちのための祝日があると主張できるSF小説など滅多にないが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』はそういう稀有なSF作品だ(念のために言うと、その祝日とはタオル・デーのこと)。アダムスの代表作は、良い意味で、その後のポップカルチャーに多大な影響を与えている。このとびきり不条理なコメディの主人公アーサー・デントはどこにでもいる運の悪い人で、銀河の高速道路建設のために地球が破壊された後、宇宙をさまよい歩く羽目になる。異星人の旅行記者フォード・プリーフェクトやアンドロイドの変人乗組員らとともに宇宙でドタバタ騒ぎをやらかしているうち、デントの冒険譚は「まったくぱっとしない」我らの「小さい青緑色の惑星」の真実を明らかにしていく。これほどの不条理と向き合わされた日には、アダムスの指摘通り、我々としては笑うしかないではないか?
43. A Clockwork Orange, Anthony Burgess
『時計じかけのオレンジ』 アントニー・バージェス
44. The Book of Phoenix, Nnedi Okorafor
未訳 ンネディー・オコラフォー
45. Neuromancer, William Gibson
『ニューロマンサー』 ウィリアム・ギブスン
46. Solaris, tanisław Lem
『ソラリス』 スタニスワフ・レム
47. A Canticle for Leibowitz, Walter M. Miller Jr.
『黙示録三千百七十四年』 ウォルター・ミラー・ジュニア
48. Contact, Carl Sagan
『コンタクト』 カール・セーガン
49. Snow Crash, Neal Stephenson
『スノー・クラッシュ』 ニール・スティーヴンソン
50. The Echo Wife, Sarah Gailey
未訳 サラ・ゲイリー