Book Riotは、読書の普及を目的とした北米の独立系ウェブサイトである。2022年8月10日、このウェブサイトに「20 of the Best Science Fiction Books of All Time」と題したネット記事が投稿され、『銀河ヒッチハイク・ガイド』もその中の1作に選ばれていた。
この記事を書いたケイトリン・ホッブスによると、今回ベストSFを選出するにあたっては、非常に人気が高いか、あるいは、SFとSFのサブジャンルのみならず、メインストームの文化にも大きな足跡を残したかどうかを基準にしたという。実際の記事では、選ばれた作品一つ一つに簡単な解説と選考理由が添えられていたが、ここでは『銀河ヒッチハイク・ガイド』についてのみ訳出した。
The Left Hand of Darkness, Ursula K. Le Guin (1984)
『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グウィン
Neuromancer, William Gibson (1818)
『ニューロマンサー』 ウィリアム・ギブスン
A Wrinkle in Time, Madeleine L'Engle (1962)
『五次元世界のぼうけん』 マデレイン・レングル
Solaris, Stanisław Lem (1961)
『ソラリス』スタニスワフ・レム
Frankenstein, Mary Shelley (1818)
『フランケンシュタイン』 メアリー・シェリー
Parable of the Sower, Octavia E. Butler (1993)
未訳 オクタヴィア・E・バトラー
Hyperion, Dan Simmons (1989)
『ハイペリオン』 ダン・シモンズ
The Three Body Problem, Cixin Liu (2008)
『三体』 劉慈欣
The Martian, Andy Weir (2011)
『火星の人』アンディ・ウィアー
Ringworld, Larry Niven (1970)
『『リングワールド』 ラリー・ニーヴン
The Hitchhiker's Guide To The Galaxy, Douglas Adams (1979-1992)
『銀河ヒッチハイク・ガイド』 ダグラス・アダムスもちろん、シリーズ全作品を含む。これほどまでに強い影響力を持ったSFシリーズはかつてないと言っても過言ではないだろう。たとえ映画やテレビシリーズや数々の舞台版を観たことがなくても、ラジオドラマを聴いたことがなくても、ビデオゲームをやったことがなくても、小説やグラフィック・ノベルすら読んだことがなかったとしても、それでもこのシリーズのことは何かしら、文化に染み込んだものを通じて知っている。別の作品で「あわてるな」「42」「さようなら、いままで魚をありがとう」といったフレーズを見つけたら、何のことを指しているかすぐにわかるはずだ。言うまでもなく、ダグラス・アダムスのように書くことなど誰にもできない。乾いたユーモアやメタファーを書くことにかけては、彼はトップクラスである。イルカが出てくる箇所だけでも象徴的であり、物語の他の部分を本質的に盛り立てている。ダグラス・アダムス抜きでベストSFを語ることはできない。
Do Androids Dream of Electric Sheep?, Philip K Dick (1968)
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック
Fullmetal Alchemist, Hiromu Arakawa (2002-2010)
『鋼の錬金術師』 荒川弘
Binti, Nnedi Okorafor (2015-2018)
『ビンティ 調和師の旅立ち』 ンネディー・オコラフォー
The Time Machine, H. G. Wells (1895)
『タイム・マシン』 H・G・ウェルズ
Akira, Katsuhiro Otomo (1982-1990)
『AKIRA』 大友克洋
Ghost in the Shell, Masamune Shirow (1989-1997)
『攻殻機動隊』 士郎正宗
Dark Matter: A Century of Speculative Fiction from the African Diaspora (2000)
アフリカ系SF作家のアンソロジー
The Broken Earth Trilogy, N. K. Jemisin (2015-2017)
《破壊された地球》三部作 N・K・ジェミシン
Iron Widow, Xiran Jay Zhao (2021)
未訳 シラン・ジェイ・チャオ